内容説明
西暦2005年のサンフランシスコ。大地震によってベイ・ブリッジは倒壊し、多くのホームレスが一種の共同体を橋の上に形成していた。メッセージ運搬人の少女シェヴェットは、盗んだサングラスがもとで何人かの男に追われていた。このサングラスこそ、光子を必要とせず直接視神経に作用して視覚を発生させる装置「ヴァーチャル・ライト」だった。そのサングラスに隠された秘密とは…。近未来の都市風景を透視し、最新テクノロジーの行く末を予言しつつ、そこに蠢く人間達のドラマを見事に描ききった傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
40
大地震による復興が進まずにスラム化したアメリカ。また、エイズの感染によって性交渉が規制された近未来。そんな世界にエイズに対抗できる男が再び、性交渉によるコミュニティの構成をしようとしていた。法統治がなされていないために生きるために窃盗、買春などをする人々などの描写が見事な中、グロテスクな死体描写、考えを窺わせないウォーベイビーの恐ろしさが際立つ。最早、パンクSFを築き上げたギブソン作品がほとんど、絶版なのが残念すぎる!!2014/08/08
Small World
19
大学時代にサイバーパンクを読み漁っていた私にとって、W.ギブスンはヒーローだったんですよね。久しぶりにギブスンを読んでみたくなったのですが、今はほとんどが絶版になってたりして.....w この第4長編を図書館で借りてきましたが、結末が???なことを除けば、楽しませてもらいました。 2015/10/05
ねりわさび
13
SFカラーの強い電脳3部作とは趣を変えて現代劇に近い舞台設定で構成されている。極秘情報を秘めたVRライトを求めて二重三重の人間関係が織りなされるところは、さすがヒット作家のギブスンの腕の為せるワザと思いました。ガンヘッドなどなどのネーミングセンスも懐かしくて面白かったです2018/12/04
作楽
10
好きな人は好きなんだろうな、と思われる作品。装飾のような言葉の羅列を削いだら、意外にまっすぐなんだろうなと思うのだけど。悪辣な言葉や、気持ち悪い描写が目にちかちかして、作者の意図を読み取るのが難しい。たしかにマキシマが読んでそうな感じ。一番有名な作品を読めばよかったかな・・・2015/02/26
Ai
8
近未来アクション。ベイブリッジにこびりついたように暮らす人々の描写がおもしろい。本筋の話よりも、スラムの描写や伝染病とそれにまつわるカリスマなど、脇の話がいいんだよな。2019/05/20