角川文庫<br> 運命の倒置法

角川文庫
運命の倒置法

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 450p/高さ 15X11cm
  • 商品コード 9784042541530
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

豊かな自然に囲まれたカントリー・ハウスで、チップステッド夫妻は愛犬の埋葬の最中に若い女と赤ん坊の白骨屍体を掘り出した。カントリー・ハウスの元所有者アダム・ヴァーン=スミスは、父からその不吉な知らせを受けた。10年前のあの忌わしい出来事が消しがたい記憶となって甦る。もし大叔父があの家を父に遺していたなら、誰も死ぬことはなかったのに…。過去と現在が交錯し、様々な記憶の旋律が複雑に絡なり響き合う。バーバラ・ヴァインが運命のモザイク模様を冷徹な眼差しで描いたCWAゴールド・ダガー賞受賞作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

414
1987年度のCWAゴールド・ダガー賞受賞作。いかにもイギリスの作家による、そしてイギリスで評価された作品だということに大いに納得させられる。ミステリーを犯人側から描くという構想もさることながら、終幕のアイロニーにあらためて舌を巻く。最後に用意された二重のどんでん返しは、プリーストリーの『夜の来訪者』を髣髴とさせるが、作家の意識の中にも先達のプリーストリーがあったのではないだろうか。レンデル名義を含めて彼女の著作は初読だが、本書を読む限りでは、その独特のシニシズムこそが彼女の小説の真骨頂かと思われる。2016/04/30

遥かなる想い

194
バーバラ・ヴァイン1987年の作品。 過去と現在の交錯がいかにもイギリスの ミステリーらしい。 封印した10年前の過去に怯える現代の5人の 心境が丹念に描かれる。結局人々は過去から 逃れられないのか..青春時代の苦さと秘密を 抱えながら、過去から逃れられない人びと.. ..最後は落ち着くところに落ち着いた、そんな展開だった。2016/11/12

ケイ

108
最初からずっと作者に振り回されっぱなしだった。少しずつ分かっていく真実。少しずつ増える登場人物。このままで済むわけないと思いながら、どういう結末をむかえるかが気になって気になって…。ネタバレになるからどうにも書きようがないのだけど、おすすめです。2017/03/04

nakanaka

85
久しぶりの推理小説でした。本格的なミステリーで非常に面白かったです。名作ですね。共同生活をする五人の若者たちが引き起こした忌まわしい事件を巡って現在と過去が行ったり来たりする内容。様々な疑問点などが最終的には嚙み合ってくるというストーリー構成が素晴らしかったです。バーバラ・ヴァインことルース・レンデルは現代ミステリーの女王と呼ばれているようです。恥ずかしながら知りませんでした。このような凄い作品に出会うと何故か、世の中って広いなぁとしみじみとしてしまいます。2017/01/31

NAO

84
【月イチテーマ⠀こわい本】白骨死体が発見され、その殺人に関わった三人の心理が描かれていく。あまりにも丁寧に三人の心理を描き過ぎていて、ちょっと読む気を削がれてしまうところがあるが、一人に異変が起こる頃から、なんとも不気味な雰囲気が漂い始める。この話、これで終わりというわけではなさそうなのだ・・・。 犯人の心理を詳細に描いたミステリかと思いきや、最後にあっと驚く仕掛け。このラストを読んだ瞬間、背中に冷たいものが走った。2021/02/10

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/61901
  • ご注意事項