内容説明
コマロフの野望は阻止されねばならない。英情報部は元CIAのジェイスン・モンクに白羽の矢を立てる。彼にはかつてソ連に苦杯を喫し、CIAを追われるという苦い過去があった。が、対露工作に関して、彼の右に出る者はいない。英情報部の作戦は、繊細を極めた。単なる暗殺では、第二のコマロフを誕生させるだけだ。モスクワに潜入したモンクは世論に影響力を持つ四人の人物に接触を始める。が、追手はすぐに迫ってきた。現役時代の宿敵、元KGBで、今やコマロフの右腕となったグリシンだった…。諜報小説の巨匠が二十五年の万感を込めて描く、絶筆作品。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
大森黃馨
10
考えてみると作品の舞台はもう二十年以上前でロシアは作品内のようにはならなかった別の道を辿ったのを自分は知っているだからどうもこの作品に乗れなかったのかもしれない それでも最後にこの作品の真の主人公が誰だったのかが分かるのは見事 実際にはここで行われたようなプロジェクトは実際に他国から働きかけて行われるのは不可能だろうがよりスケールを小さくして自国内向けに行うのは不可能ではないし参考になるだろう2023/11/30
カワセミ440
5
F.フォーサイスさんはやっぱり面白い。近代ロシアの苦境はそういう事なんだって解った気になる。現実の所はどうなんだろう?プーチンやメドヴェージェフは実際どんな政治家なんだろう?ニュースだけじゃよく解んないな。そのうち一度くらいはロシアに行ってみたい気もするけど、治安が悪そうだから・・・配偶者は行きたくないし、興味もないって言ってるし。オーロラ見てみたいけど。今の世にどれくらい『スパイ』『諜報員』っているんだろう?現在進行形で西側とロシアの諜報員が覇を競ってる?なんてことがあるんだろうか??2015/04/07
fritzng4
3
胸のすく展開。これが今のロシアの話だったらどんなにいいかと思う。数歩先を読み、裏の裏をかくアーヴィンの謀略。下巻は上巻のような時制の行きつ戻りつがない分、読みやすくはある。面白い小説だと思うが、強いて言うならクライマックスの味気なさが不満に残る点だろうか。意図してのものかわからないが小説としての濃密な描き込みが消え、突然アイデアノートになったようにも読める。2024/04/09
凛々
3
再読。久しぶりのフォーサイス。細部は忘れていたが、面白くて一気読み。結末がわかっていても読ませる本って手離せない(^∧^)2022/04/21
higashi
3
帯にある通りハズレなし。さすが巨匠。それぞれの思惑を持った登場人物が入り乱れるように話が進むので、群像劇のような印象でした。2014/08/24