角川文庫<br> 禁じられた遊び

角川文庫
禁じられた遊び

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  • サイズ 文庫判/ページ数 222p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784042258018
  • NDC分類 953
  • Cコード C0197

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Willie the Wildcat

62
ポーレットの心の疑問は、社会の”矛盾”の象徴。戦争と平和、そして生死。無関心と無力さへの嘆きではなかろうか。ドレ一家のポーレット受容と隣人との諍い。”象徴”の物理的紛失と精神的紛失。大人たちが言葉にしない矛盾を、無意識に形とする子供たちの遊び。現代も続く紛争の被害者・被災者と、子供たちの”遊び”を憂う。実家を訪ねた際に、映画好きの父親のコレクション整頓中に思わず映画鑑賞。今回初めて原著を手に取るが、時代を超えた問いかけではなかろうか。2017/03/19

えりか

60
「禁じられた遊び」と聞いて、最初に思い出すのは、あの悲しいギターの調べ。戦争によって両親を亡くした9歳のポーレットと彼女を引き取った先の10歳のミッシェル。無垢な二人はほのかな恋心を持ちながらも、十字架を弄ぶような遊びに夢中になる。死の意味を理解できていない二人の残酷な遊び。それは戦争への反抗、ひいては神の否定を表しているよう。生命を軽く扱い、大量に立てる十字架は戦争への批判。そんな遊びを子供にさせてしまう戦争。ポーレットのような絶望と悲しみの底に落とされるような子供が世界からいなくなるよう願うばかり。2016/11/02

A.T

24
フランスは伝統的なキリスト教支配が色濃い地域と、革命意識の高い社会主義的な地域に二分されるというが、本書にもそれが反映していて興味深く読んだ。戦争孤児のポーレットは10歳にもなるのにお祈りの仕方も知らない。一方で戦災地からほど近い村人たちは、戦争といえば30年も前の終わった戦争の話で居酒屋で盛り上がる程度で村の街道を歩く戦災の人々にも無関心だ。地域の司祭ジョゼフも親を失ったポーレットにも興味がない。あるのは教会区をパトロールした後に寄る居酒屋のみかん水という名のワインだけ。純真無垢のミッシェルのが切ない。2020/04/26

とも

24
あのギターの悲しい調べは知っていたものの、映画や小説の内容は全く知らず。 ず〜〜っと前から実家の本棚にあったのは知ってたけど中々手には取れず今になってようやく読了。そうか、こんな内容の本だったか… ミッシェルとポーレットの幼い二人には戦時中、死が身近に存在するにも関わらず死の意味が理解できていない。幼い二人が死を認識する為の残虐な儀式の遂行が描かれる。 死とは、生とは、戦争とは…2017/02/25

C-biscuit

22
図書館で借りる。映画や同名の音楽が有名であるが、実際に全く話を知らなかったので読む。題名からは、禁断の情事のように感じていたが、宗教的に禁忌を侵してしまう子供とその時代の政治、社会や大人に当てこすった内容の物語である。小説を読んでなんだが、映画を見る方が雰囲気や時代を感じることができるのかもしれない。第二次世界大戦時のフランスの話であり、日本同じく戦争の最中である。多くの不幸な人達を生み出した。その中でも無垢な子供の強さや愚かさも入り混じる描写が共感でき、悲しさを誘う。頭の中に例のメロディーがながれる。2017/08/21

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