角川文庫<br> キリマンジャロの雪 (改版)

角川文庫
キリマンジャロの雪 (改版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 308p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784042135043
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

たーぼー

51
『フランシス・マコンバーの短い幸福な生涯』において、ヘミングウェイは良風に背いた、容赦無い見事な策略を施したといえる。アフリカの灼熱の太陽と、漂う大草原の香り。みなぎるヘミングウェイの狩猟愛。その最中での、あまりに突如で、後味の悪すぎるマコンバーの嘆かわしい最期。これこそが勇敢へと向かっていた彼の短い幸福を、より奇異的に際立たせていないか。しかし、ウィルソン君の冷やかな本性の前には、友情についての省察すら阻まれた。これが人間というものか。たてがみを振り乱し、荒ぶる獅子に対して人間のなんとちっぽけなことか。2017/01/14

拓也 ◆mOrYeBoQbw

23
『殺し屋』『白い象のような丘』『清潔な明るい場所』再読。収録作で最も長い『二つの心臓を持つ大川』もそうですが、”全てが物語られ無い”事が重要な役割を果たす作品群。特に最初の2作品に関しては作中で最も重要な場面や事実が伏せられる事で、後味も作品の深みも増してる感じがしますね。中核部を省くのはカフカの『城』やマッケン、ラヴクラフトで確立された手法ですが、徹底したリアリズムで使われるのも面白いと思います。そしてヘミングウェイ初期の繊細な技巧と、壊れやすそうなテーマを丁寧に扱ってるのも良いですね(・ω・)ノシ2019/05/27

拓也 ◆mOrYeBoQbw

20
短篇集。複雑で凝った修飾を排除して、ヘミングウェイらしいシンプルに情景を伝える切れの良い短篇が並びます。一見すると味気ない出来事の羅列にも思えますが、寧ろその手法がビアースや後のビートニク文学にも通じる、アメリカ文学らしい衝撃や厭な味を上手く表現してると気付きますね。私が好きなのは「二つの心臓を持つ大川」と「世の光」「白い象のような丘」。シンプルな文体に対してアイロニカルなタイトルが多いのも特徴で、上手く効いてると思います(・ω・)ノシ2016/12/11

kozy758

12
作者の短編は登場人物が生き生きとしてる。うまく描かれている。『老人と海』を想起する。アフリカ最高峰のキリマンジャロが「海」、主人公もしかり。もっとページ読んでいたかったのが読了感であった。2014/12/30

きりぱい

10
「キリマンジャロの雪」目当て。最初はどうってことなかったのに、最後は一気にドラマチックキリマンジャロ!てな感じに。妻へのひどい言い草も、明日をも知れぬ命で屈折するいかにもな男臭さに思えて、いたたまれないやらほろ苦いやら。「二つの心臓を持つ大川」は川のほとりでキャンプを張る、ただそれだけの話なのにいい。焚き火を起して豚肉やらインゲン豆やら缶詰をフライパンで温めたり、そば粉のパンケーキを焼いたり、テントの支度や釣りと自然とかかわる描写がよくて、もうその食事の場面だけでもいい。釣った鱒の料理も読みたかったなあ。2013/11/08

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