内容説明
フランス革命初日、バスティーユ陥落に狂喜するパリの街頭で出会った三人の青年。貴族出身の国王騎兵隊士官アンリ、その副官で親友の伍長ニコラ、そして革命を信奉する寄宿学生ジュリアン。激変する政情は、彼らを激しく対立させ、革命史上最大の大量虐殺へと導いていく。青年たちの友情と憎悪、別れと再会を通じ、革命美談の裏に隠されてきたフランス史の暗黒を暴く、渾身の力作長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
レアル
99
読友さんご紹介の本。フランス革命期に起こった王党派の反乱であるヴァンデ戦争の話。蜂起軍・革命政府と両方の側から描かれており、読みやすく躍動感があり、良い歴史の勉強になった。フランス革命と言うと、貴族が「悪者」で市民が「正義」というイメージがあるが、この本を読むと「果たしてその定義は正しいのか」と考えさせられる。。2014/01/23
紅香@新刊購入まで積読消化あと3冊⭐︎
32
『僕は誓います、人民と真理のためにこの命を捧げると』『貴族として私は王政を死守する』二つの高潔な使命が核。生まれた環境によって守るべき正義がどちらにもある。絶対的なものがなくなった時代。倒れたものの分だけ地盤が弛み、すべての人々は暗黒の海原に放り込まれ、その渦に巻き込まざるを得ない。誰一人逃げることはできない。何に掴まるか。。『革命になるならなれ。この時代に生まれ合わせた身の宿運。最後に勝つのはどちらか、生命を賭けて見届けるとしよう』そんな高潔さ。私には微塵もない。次巻へ。2015/11/18
しーふぉ
24
何回目の再読だろうか?アンチフランス革命の書。地方の農民にとってフランス革命とは税負担増に兵士として戦地に駆り出され、慣れ親しんだ司教の追放と良い所なし、絶望的な戦いに赴く貴族のアンリと仲間たち。2017/12/21
松本直哉
18
勝者が記す歴史では共和国が善で理想なのに対して王党派は旧弊な時代錯誤として叛乱軍の烙印を押されるが、敗者にとっては共和国は対外戦争のために農民を強制的に徴兵し信仰の自由を奪う悪しき抑圧者だ。ロベスピエールの崇拝者として共和国の理想に燃えるジュリアン、王党派の貴族として農民とともに共和国に叛旗を翻すアンリ、アンリの僚友でありながら袂を分かって共和国軍に投じるニコラ。三人の若者の友情と憎悪がからみあうなかでの王党派の大規模な蜂起。奸計と仲間割れによって叛乱は危機を孕む。誰が正義なのか。そもそも正義はあるのか。2016/03/16
noémi
14
フランス版『八重の桜』って感じですかねぇ。以前、この本をトライしたことがあったのだが、非常に難しい本で、少なくともフランス革命の全容を知った上ではないと、この「カトリック王党軍」というものを理解できない。ルイ16世の遺児、ルイ・シャルルをルイ十七世として王位につけ、ローマから切り離されたカトリック信仰を復活させるということはどういうことかそれを少なくとも理解してないと、読み進めることはできない。2017/05/25