内容説明
ハンガリーから、留学生ポラーニ・ボラージュがやってきた。新しい家族が加わった城田家のなかを走り抜けてゆく、とまどいそして衝突。だがボラージュのひたむきな生は、同じ屋根の下に住む人々を少しずつ変え、新しい絆と歓びを生んでゆく。そして一家の足もとに寄りそう、優しい老ビーグル犬・フック―。総勢十三人と一匹の大家族が織りなす、愛情と成長の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あつひめ
83
一石が投じられたように、家族に小さな波紋が広がっていく。それは嫌な気持ちがするものではなく、子供の成長や人の心の変化がそうさせる一種の風邪みたいな部分もある。ハンガリーと言う異国の、それも日本とは全く環境の違う世界からほのぼのした明るそうな家庭に飛び込んできた青年も、またカルチャーショックで自分の中で波紋が広がっていることだろう。大家族でもそれぞれが心の中に小さな世界を持っている。それがみんな重なると家族の大きな世界になるのだろう。家族の要、妻・嫁・母の役割を担う敦子の性格がこの家族を包み込んでいるかも。2013/11/03
えみ
51
人に真剣に向き合うことを忘れはじめている自分に「人と関わる面倒さは優しさと表裏一体」ということを思い出させてくれた人間物語。人と人との繋がりが思いがけない衝突を生み成長を育む。ハンガリーからの留学生、ポラーニ・ボラージュを受け入れた大家族の城田家。13人とビークル犬・フックの1匹が、衝突しながらも助け合って生活していく様子を描いた物語の上巻。ボラージュ留学期間の3年間で訪れる、数々の人生変化を味わい噛み締めながら楽しんで生きる家族を微笑ましく見守る。改めて人は面倒くさいと思う。が、そこにある幸せが眩しい。2024/01/07
佐島楓
39
12人と一匹の大家族。そこにハンガリーからの留学生が加わる。それぞれに問題を抱える一家の行き着くところは・・・。やるせない思いにかられるシーンも多く、一家の幸せを祈らずにはいられない。下巻へ。2015/03/17
saga
10
大家族の城田家の日常の話。ハンガリーの留学生を受け入れたり、また、あちこちで子供を作ってくる犬が話題を作ったりで、飽きないけれど のんびり読みました。我が家にもビーグルと柴犬のミックス犬がいるので、想像して読みました。では、下巻へ。2013/06/17
彩
9
お祖父ちゃんとお父さんとお母さんと4人兄弟と、おばさんと従兄弟4人と、ハンガリー人留学生と、犬1匹が暮らすお家の物語。ハンガリーは共産主義で、お父さんはかつて事業に失敗してて、お姉ちゃんは不倫して、おばさんは出戻りで、従兄弟は道を踏み外しかけてて、犬はスケコマシ。笑 みんなそれぞれいろんなものを抱えてて、それが同時進行して人生って詰まったものになってくんですよね(*´Д`)宮本さんの心理描写、好きです(*´ω`*)なんとも言えず人情味のある素敵な人が出てくるところも好きです(*´∀`*)下巻に期待♡♡♡2014/02/23