内容説明
突然閑職に追いやられた敏腕編集者・久木。失意にくれる彼の前に、夫との冷え切った関係を持て余す美しき人妻・凛子が現れる。まるで結ばれるのが宿命であるかのように、ふたりは激しい恋に落ちてしまう。その純粋なる想いを貫き通すため、ふたりは究極の愛の世界へと足を踏み入れる―。「人を愛する」ということは、どういうことなのか?男女の愛の極限を描き切った、渡辺文学の最高傑作。
著者等紹介
渡辺淳一[ワタナベジュンイチ]
1933年北海道生まれ。札幌医科大学卒。1970年『光と影』で第六十三回直木賞、1980年『遠き落日』『長崎ロシア遊女館』で第十四回吉川英治文学賞を受賞。2003年に第五十一回菊池寛賞を受賞
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
134
映像化されてる作品のイメージしかなく、原作を読んだのはもちろん初めてです。率直な感想としては、そこいらの下手な官能小説よりも、ほぼ終始、二人の戯れ描写がこれでもか、これでもかと続いています。おそらく理屈とは無縁のお互いのキモチの昂りをメインに綴る描写はかなりのインパクトです。好き嫌いが分かれ、作品としても賛否両論あると思いますが、渡辺淳一先生のアタマの中を少し見れたような気がします。男性も女性もとにかく貪欲で、読んでるこちら側が食傷気味で、ノックアウト寸前になりました。さて、気合い?いれて続編へGoです。2021/07/25
美紀ちゃん
47
追悼の意を込めて再読。渡辺淳一先生のご冥福をお祈りいたします。阿部定の話は、とても印象的。2014/05/13
Lumi
25
ずっとセックスしかしてなくて、予想と違かったからびっくり。これただのセフレと何が違うの?主人公の久木が「むろん、これまでも秘かに浮気をしたこともあった」って言ってるし周りの同僚とかも妻がいるのに恋したいとか言ってて衝撃。これはこの小説の中の男性だけがこうなの?それとも現実でも男の人はこんなかんじなの?もしそうならショックだなぁ。私恋愛経験ないくせに色々飛ばして難易度高い小説に手を出したかも。普通の恋愛小説読みたくなる。男性が書いた恋愛小説は初めて読むけど、この久木の思っていることは男の人は共感するのかな?2020/08/28
金吾
14
有名な本ですが、思っていたものとは違いました。情感はあると思いますが、通夜の話で嫌になり、久木の魅力がわかりませんでした。2020/12/10
桜もち 太郎
13
やはり渡辺淳一は変態だった。50代男と30代女の不倫の物語で、ほとんどがセックスシーン。といってもそんなに艶めかしさは感じ取れない。二人の関係は真綿で首を絞めるように少しずつ終焉に向かっていくという感じ。究極の愛情は死に繋がるといったところか。男としては久木には共感はできない。自身の欲望のために凛子の父親の通夜の日に呼び出し、ホテルでヤルところから怪しくなってきた。仕事も家庭も忘れ、忘れるために快楽に溺れる二人の行く先の下巻は何となく想像ができる。ということで下巻へ進もう。2022/07/24