内容説明
臓器移植の諸問題が解決した時代。交通事故で瀕死の重傷を負った作家が、手術の結果一命をとりとめた。ただし、胃袋はブタ、心臓はイヌ、肝臓はウマのものだった。その結果…。（条件反射） 宇宙中継用の有人通信衛星が開発された時代。男は、奇妙なものが衛星からのＴＶ画面に映しだされるのを見て仰天した。なぜ、さきぼど青山墓地で脱ぎすてた自分のステテコが宇宙空間を漂っているのか…？（睡眠暗示） 脳の移植手術が可能になった時代。重態に陥った３人の大臣の脳が移植された。総理大臣の脳はゴリラに、外務大臣のそれはオットセイに、大蔵大臣のそれはウマに。そしてその結果、国会は…。（議会制民主主義）学の真髄を伝える〈心狸学〉〈社怪学〉全１４講。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
89
面白かったです。半世紀も前に書かれた作品ですが、風刺的なギャグは今に通じるものがあるような気がしました。一言で言えばエログロナンセンスでカオスですが、そこが魅力なのかなと思わされます。2018/03/16
harass
80
1975年発表のドタバタ短編集。十数年ぶりに読み返す。懐かしさと古さと著者の変わらなさを感じながら読む。下品で下劣で強烈な残酷さが圧縮されたテンポで進む。自慰で瞬間移動をする話が収録されているかと勘違いしていたが、他の短編集だった。正直、彼の短編集としては代表的なものとは言えないが、自分の初筒井作品がこれだった。道を踏み外したきっかけだったかもしれない。ファンであれば。2018/12/24
harass
15
中学時代に星新一から筒井に乗り換えた一冊。
ＭＩＫＥＴＯＭ
9
筒井初期の作品。心理学・社会学と言えば筒井のまあまあ得意分野であり、それに関連する用語を使いながら思い切りパロディ化している作品集。例えば『条件反射』『ナルシシズム』『フラストレーション』サディズム』（心狸学）『ゲゼルシャフト』『ゲマインシャフト』『原始共産制』『議会制民主主義』（社怪学）等々。これを筒井節で思い切りおちょくっている。しかも、女性蔑視、貧乏人差別、一般大衆侮蔑など、現代のフェミや人権屋などが読んだら発狂しそうなほど過激な内容。ある意味、当時はよかったってことになるかな。2023/07/31
TSUBASA
9
ブラックユーモア大好きの筒井氏による初期短編集。諷刺する社会問題が古いのでピンと来ないところもあるかもしれないが、安心のくだらなさ。まぁ解説で諷刺諷刺と書いてあったけど、筒井氏のこの手の作品は大前提が悪ふざけにあるんじゃないかなぁと思う。それぞれの短編はタイトルが心理学用語だったり社会学用語だったり。特に気に入ったのは、貞淑な女中ロボットに暴力を働いたことできたすロボットの変化を描く『ナルシシズム』と処女尊重の時代からフリーセックスの時代に移った世界を卑猥表現まっしぐらで描く『フラストレーション』。2014/06/28
