出版社内容情報
日本最古の物語が、SF界の名手の訳で現代によみがえる絶世の美女に成長したかぐや姫と、5人のやんごとない男たち。日本最古のみごとな求愛ドラマを名手がいきいきと現代語訳。男女の恋の駆け引き、月世界への夢と憧れなど、人類普遍のテーマが現代によみがえる。
星 新一[ホシ シンイチ]
翻訳
内容説明
絶世の美女に成長したかぐや姫。彼女を射止めたい5人のやんごとない男たちは、与えられた難題をクリアしようと奮闘するが、姫は姿も見せず、月の彼方へと帰ってしまう―。日本最古のみごとな求愛ドラマを、星新一がいきいきと楽しく現代語訳。モテたい男と謎の美女の恋のかけ引き、月世界への夢と憧れ、人類不滅のテーマをSF界の名手が現代に蘇らせた新しい名作。
著者等紹介
星新一[ホシシンイチ]
1926年東京生まれ。東京大学農学部卒。57年日本初のSF同人誌「宇宙塵」の創刊に参加。68年『妄想銀行』で第21回日本推理作家協会賞受賞。ショートショートの第一人者として1001以上の作品を発表した。その他、時代小説、少年小説など多方面で独創性を発揮。97年、永眠(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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海猫
179
再読。私の持っているバージョンは、沢口靖子がかぐや姫に扮している映画スチールが表紙でこれも時代性ですな。もともとのお話がけっこう面白いのと、星新一の訳文のぼわーんとした掴み所の無さが良い感じ。所々、シニカルに思えるのは訳の効果。和歌のやりとりも皮肉めいていて味わいがある。月の虚無的なイメージはジブリ映画の解釈なだけじゃなくて、原文にもともとあったんだ。2015/05/14
ケイ
166
読友さんの感想から、星新一氏の手になる竹取物語の現代語訳があると知り、興味を持った。森見登美彦氏の現代語訳も面白く読んだが、錚々たるメンバーの中でぎこちなさが無きにしも非ず。一方、さすが星新一、正しく訳しながら、堂々と自分の解釈を間に挟む。彼の分析と突っ込みがごもっともなことばかり。解説も勉強になった。そう、星氏は東大理系だったわと納得。科学的で論理的な分析と文章。無駄な語がない。下手に情緒に流されない。中秋の名月の頃は、満月前後の月の出方が日毎にそれほど差がないとは。愛でられるのにも理由がある2017/10/27
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
127
日本最古の小説と言われる『竹取物語』を星新一さんが現代語に訳した物語。巻末に注釈付きの原文も収録されています。かぐや姫が涙ながらに月に帰っていくラストシーンの印象ばかり残っていましたが、読みどころは姫に求愛する5人の男たちのドラマ。断るための方便だった姫の理不尽なリクエストに対し、金の力で解決しようとする者、ルール違反を試みる者、姫の真意を悟り身を引く者、果敢な挑戦の末に命を落とす者……。天の羽衣をまとうと心がリセットされてしまうという設定は極めてSF的だなと思いました。2015/09/01
小梅
112
中秋の名月に寄せて、星新一の訳した竹取物語。途中で星新一のコメントが入っていて、読みやすかった。そうだよね、竹取物語は日本最古のSF作品だよね。2017/10/06
あおい
55
内容そのものは誰もが知っているであろう「竹取物語」の星新一語訳(あえて現代語訳とは書かない)。彼の手によるコミカルな訳に加え、ところどころで彼自身の感想が入っていて、そのバランスが絶妙。学校の古文の授業で身分の高い男性ほどかぐや姫への贈り物の調達方法が手抜きだと学んだ気がするのだが、確かにその通りだった。竹取物語の作者が天才なのに間違いないとは思うが、星新一よ、あなたも天才だ。2018/07/15
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