出版社内容情報
みんなと、居たい。みんなは、痛い。
教室がすべてだったあの頃の、まぶしさとしんどさがよみがえる。
教室というちっぽけな王国の先に、本当の世界が待っている。
六年三組の調理実習中に起きた、洗剤混入事件。
犯人が誰も名乗りでない中、担任の幾田先生はクラス全員にある言葉を言い放ち、去っていった。
先生の残酷な言葉は、誰かが守ってくれる子どもの世界に終わりを連れてくる。
いじられ役、優等生、『問題児』、クラスの女王の親友。
教室での立ち位置がまったく違う4人は、苦悩と希望を抱えながら自分の居場所を必死に探し求めていて……。
内容説明
六年三組の調理実習中に起きた、洗剤混入事件。犯人が名乗りでない中、担任の幾田先生が放ったその残酷な言葉は、子どもの世界に終わりと始まりを連れてきた。いじられ役、優等生、『問題児』、クラスの女王の親友。教室での立ち位置がまったく違う4人は、苦悩と希望を抱えながら自分の居場所を必死に探し求めていて…。教室というちっぽけな王国の先に、本当の世界が待っている。
著者等紹介
朝比奈あすか[アサヒナアスカ]
1976年、東京都生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。2000年、ノンフィクション『光さす故郷へ』を刊行。06年、群像新人文学賞受賞作の『憂鬱なハスビーン』で小説家としてデビュー。19年、『人生のピース』がミュージカル化。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
モルク
159
6年3組の児童たちの連作短編集。学級崩壊の危機にあるクラスに小学生でもスクールカーストが存在する。女王様と取り巻きたち、好きなわけではなく仲間外れを恐れる彼女たち、男子もリーダー格の子そしていじられキャラがいる。いじめといじられの境界、それはとても曖昧なもの。そして積極的に手をあげ正論を言う、それがうざいと思われ教室では浮いてしまう子。どの章もあるある。娘が小学生の頃を思い出し、心がヒリヒリする。様々な立場、目線で書かれリアル。そういう時を切りぬけた人、今悩んでいる人、いろんな人に読んでほしい1冊である。2020/06/11
なゆ
140
六年生にもなると、クラス内での自分の位置づけを気にしながら、実はものすごくいろいろ考えて行動してるのだろうか。ほんと、一種のサバイバルだなぁ。先生も大変だ。最初の章で、この流れだとこの先どうなるのかと心配したが…。お調子者のいじられ男子、女王気取りの女子とその取り巻き、クラスを冷ややかな目で見つめる女の子、そして発達障害と思われる男の子から見る教室という世界。いろんな視点で眺めるとそれぞれの本音や本心も見えてきて、よけいに複雑な気持ちになってしまう。エピローグでその後が知れて、なんだかホッとした。2019/12/25
fwhd8325
127
無条件に先生は偉い人だと教えられてきた世代にとって、この小説の世界をすべて受け入れることは難しいのです。一方で、小学生の時に担任の先生に傷つけられた経験もあるので「わかるよ」と言ってしまう自分もいます。どの章にもこれで終わりなの?という不思議な余韻を感じますが、はっきりした終わりを描いていないことの効果を感じます。3章、4章は涙が出てきました。2019/11/02
ゆみねこ
122
6年3組のいじられ役・優等生・問題児・クラスの女王の取り巻きの女子、4人を通して語られる連作短編。あの年代の子ども達には教室が世界の大部分。ほぼ崩壊しているこのクラス、エピローグでその後の彼らのことが明かされ、じわっと感動。素敵な1冊、皆さんにお薦めします。2019/07/14
うどん
119
素晴らしかったです。自分が6年のときを思い出しました。リーダーやその取り巻き...。そして最後のエピローグがまた良かったです!2019/08/11