出版社内容情報
平穏だった家族が少年事件によって崩れていくさまを描く心理サスペンス。
内容説明
思春期の息子と娘を育てながら平穏に暮らしていた石川一登・貴代美夫妻。9月のある週末、息子の規士が帰宅せず連絡が途絶えてしまう。警察に相談した矢先、規士の友人が殺害されたと聞き、一登は胸騒ぎを覚える。逃走中の少年は2人だが、行方不明者は3人。息子は犯人か、それとも…。規士の無実を望む一登と、犯人でも生きていて欲しいと願う貴代美。揺れ動く父母の思い―。心に深く突き刺さる衝撃のサスペンスミステリー。
著者等紹介
雫井脩介[シズクイシュウスケ]
1968年愛知県生まれ。専修大学文学部卒。2000年に第4回新潮ミステリー倶楽部賞受賞作『栄光一途』でデビュー。04年に『犯人に告ぐ』を刊行、翌年には第7回大藪春彦賞を受賞し、ベストセラーとなる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
三代目 びあだいまおう
379
選択できる望みは【絶望】のみ!近所で高校生の惨殺死体が見つかった!息子の同級生!他に1人被害者がいるらしい。時を同じくして行方不明の息子。状況証拠の全ては息子の事件への関わりを示す。殺人犯なのか被害者なのか!どこにでもある平穏な家族に突如訪れた厄災、築いてきた全てが脆くも崩れ落ちる。犯人の筈がないと既に息子の死を覚悟する【父の望み】たとえ犯人だとしても生きていてほしいと願う【母の望み】互いの視点で紡がれ交錯していく【望み】の行方は?家庭を持つ人必読の結末!私は家族を信じる!絶望でも家族と共に生きる‼️🙇2020/09/18
zero1
319
息子の死を願う親がいる?殺人事件が起きた。行方不明の息子が関係しているらしいが加害者として生きているか?それとも被害者として死んでいるか。真相が明らかになる前に取材陣が来て生活に大きな影響が。近所の住民も白い目で見る。悩み疲弊する家族。そして結論は...雫井はいろんな犯罪を描いてきたが、悩ましい問題を読者に投げかけた。事件が起きると家族の悩み、苦しみは裁判後も世間が忘れても続く。自分が父親ならどうするか?題名の【望み】は重い現実を突きつける。レビュー256件とは少なさが意外な力作。重苦しいが読んで損なし。2020/05/21
ごみごみ
217
残忍で異常な少年犯罪。行方不明の息子は加害者なのか、それとも被害者なのか?殺人を犯していたとしても生きていて欲しいと願うか、例え殺されていたとしても犯人ではないと信じるか。どちらの「望み」も辛く苦しい。家族の揺れ動く心情が丁寧に描かれている。被害者家族も加害者家族も生きていかなくてはならない。どちらになっても不幸。むなしさが残るラストだった。2019/05/11
シナモン
193
映画化本。苦しく辛い読書だった。息子は殺人犯として生きているのか、被害者として亡くなっているのか。自分のこどもが行方不明ってだけでも心配でたまらないというのに、この究極の選択。両親の不安な心情に心が張り裂けそうだった。母親の考え方にはちょっと違和感もあったけど究極となるとこういう思いにもなるのか。自分ならどちらに望みを託すだろう。この家庭で子育ての誤りなんてないし、ふとしたきっかけでどの家庭でも起こりうることだと思うとそれも怖かった。これをまた映像で…躊躇してしまう。そんな一冊だった。2020/09/27
イアン
193
★★★★★★★☆☆☆ 人間の心理と葛藤を丁寧に描いた雫井脩介の長編ミステリ。息子・規士が行方不明となり、その友人が遺体となって発見される。生きていないとしても息子の無実を信じるか、加害者であったとしても生存を願うか。全編を通じてミステリらしい要素はこれだけであり、後読感やエンタメ性を重視するならそのどちらでもない結末を用意するんだろうけど、そうしなかったことに著者の強い信念とリアリティを感じた。自分は父親目線で読んだけど年頃の子供がいたら違うのかな。最後に規士の生きたかった未来を垣間見て、胸が熱くなった。2020/06/01