出版社内容情報
人類の滅亡と復活を描いた、傑作SF小説!生物化学兵器を積んだ小型機が、真冬のアルプス山中に墜落。感染後5時間でハツカネズミの98%を死滅させる新種の細菌は、雪解けと共に各地で猛威を振るう。世界人口はわずか1万人にまで減ってしまい――
小松 左京[コマツ サキョウ]
著・文・その他
内容説明
吹雪のアルプス山中で遭難機が発見された。傍には引き裂かれたジュラルミン製トランクの破片。中には、感染後70時間以内に生体の70%に急性心筋梗塞を引き起こし、残りも全身マヒで死に至らしめるMM菌があった。春になり雪が解け始めると、ヨーロッパを走行中の俳優が心臓麻痺で突然死するなど、各地で奇妙な死亡事故が報告され始める―。人類滅亡の日を目前に、残された人間が選択する道とは。著者渾身のSF長編。
著者等紹介
小松左京[コマツサキョウ]
1931年大阪生まれ。京都大学文学部卒。幾多の職を経て、62年作家デビュー。その後、日本SF界の草創期から現在に至るまで中心的役割を果たし、数々の秀作名作を発表。74年『日本沈没』で第27回日本推理作家協会賞、85年『首都消失』で第6回日本SF大賞を受賞。2011年7月永眠(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
absinthe
176
凄かった。コロナ禍を見越したような作品で、未知の病原体が広がっていく様は身の毛がよだつ。南極大陸だけが災厄を免れており、希望を持てる結末は救いとなった。細菌やウイルスについても良く調べたなぁと感心する。あとがきが昭和37年と書かれているからabsintheが生まれる前の作品。人類の滅亡を描いた作品は幾多あり、狂気の描写が見ものなのだが『復活の日』の人類は紳士的だ。まぁ観測隊員たちは知的な人が多いだろうし、協力し合うのも納得できる。2023/07/03
れみ
139
感染後70時間以内に生体の70%に急性心筋梗塞を引き起こし残り30%も全身麻痺で死ぬ。そんなMM菌が不測の事態によって世界中に蔓延する…というお話。MM菌の由来や高すぎる致死率、ありふれたウィルスとともに運ばれていくということが本当に恐ろしく、新型コロナの怖さともどこか似ている気がする。世界各地の無関係そうな出来事がすべて繋がっていてジワジワと広がりあっという間に手の施しようのない事態になっていくのが怖く辛く悲しく、そこから残された人々の身に起こったことには人間が逃れられない欲望や疑心を感じざるを得ない。2020/08/07
おたま
107
世界がパンデミックに陥っている今こそ読みたいと思い、昔読んだときのことを思い返して読んでみた。小松左京がこの作品を書いたのは1964年。生物細菌兵器として開発されたMM-88によって世界が滅びる物語なのだが、その初期症状は「風邪」。刻一刻と「風邪」によって世界がパンデミックに覆われていく姿は、まるで今現在を小松左京が見たかのように書かれている。さらに現在の状況を小説は超えていってしまう。途中でスミルノフ教授が、滅亡していく世界に向けて発信する「知性による連帯」の思想こそ今必要なことだと思う。2020/03/29
ばう
90
★★★★ 南極にいた1万ほどの人間を残して地球上35億の人類を全滅させた恐ろしい菌。残された人々に未来はあるのか?この小説が前の東京オリンピック開催の年、つまり57年も前に書かれたということは本当に驚きでしかないです。圧倒的な筆力と発想力の小松左京の凄さを改めて感じました。コロナ禍の今読むと恐怖しか感じない。だってほぼ同じ事が今世界中で起こっているのだもの。この話を全くの絵空事と読むことか出来たらもっと楽しめただろうに。このコロナ禍の今はただただ辛くなるだけでした。でも凄い物語です。興味のある方は是非!2021/08/16
keroppi
90
新型コロナウィルスの現状を見るにつけ、この本を思い出し、久々に読み返した。細菌兵器として作られたウィルスが世界中に蔓延し、人類滅亡を迎えようとする。なんと1964年に書かれたSF小説だが、科学的解説とその当時の社会背景を踏まえて展開する話は、今読んでも読み応えあるし、なんと言っても、今を予言していたのではなかろうかという緊迫感。しかし、小松左京は、人類破滅を描きたかった訳ではない。タイトルが「復活の日」というように、人類の知恵と努力は、未来に向かって進んでいくのだ。今の事態も早く落ち着くことを祈りたい。2020/02/24