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スウィングしなけりゃ意味がない

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  • サイズ B6判/ページ数 344p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784041050767
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

ジャズが彼らのすべてだった――戦時下のドイツを舞台に描く音楽青春小説!1939年ナチス政権下のドイツ、ハンブルク。15歳のエディと仲間たちが熱狂しているのは頽廃音楽と呼ばれる”スウィング”だ。だが音楽と恋に彩られた彼らの青春にも、徐々に戦争が色濃く影を落としはじめる。

佐藤 亜紀[サトウ アキ]
1962年、新潟に生まれる。1991年『バルタザールの遍歴』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞。2002年『天使』で芸術選奨新人賞を、2007年刊行『ミノタウロス』は吉川英治文学新人賞を受賞した。著書に『鏡の影』『モンティニーの狼男爵』『雲雀』『激しく、速やかな死』『醜聞の作法』『金の仔牛』『吸血鬼』などがある。

内容説明

1939年ナチス政権下のドイツ、ハンブルク。軍需会社経営者である父を持つ15歳の少年エディは享楽的な毎日を送っていた。戦争に行く気はないし、兵役を逃れる手段もある。ブルジョワと呼ばれるエディと仲間たちが夢中なのは、“スウィング(ジャズ)”だ。敵性音楽だが、なじみのカフェに行けば、お望みの音に浸ることができる。ここでは歌い踊り、全身が痺れるような音と、天才的な即興に驚嘆することがすべて。ゲシュタポの手入れからの脱走もお手のものだ。だが、そんな永遠に思える日々にも戦争が不穏な影を色濃く落としはじめた…。一人の少年の目を通し、戦争の狂気と滑稽さ、人間の本質を容赦なく抉り出す。権力と暴力に蹂躙されながらも、“未来”を掴みとろうと闘う人々の姿を、全編にちりばめられたジャズのナンバーとともに描きあげる、魂を震わせる物語。

著者等紹介

佐藤亜紀[サトウアキ]
1962年、新潟県生まれ。91年、『バルタザールの遍歴』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、デビュー。2003年『天使』で芸術選奨新人賞を受賞。08年『ミノタウロス』で吉川英治文学新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

紅はこべ

228
ユダヤ人迫害をメインではなく、第二次大戦中のドイツを描いたのは珍しい。ドイツとジャズって意外な組み合わせだった。ユダヤ系じゃない富裕層もゲシュタポの標的となっていたのか。佐藤亜紀さんの訳した歌詞がかっこいい。演奏者としての才能はなかったけど、プロデュースや商売の才能があったエディ、自国をお馬鹿な帝国と言い放てる見識、かっこいいよね。経済をきちんと描くのがこの作家らしい。ナチに膝を屈したと見えた父の真意をエディが悟った時は泣けた。デュークと再会するかと思ったが…。2017/06/29

風眠

187
もしも日本が戦争を始めたとして、アイドルやバンド等の音楽や文化を全部禁止します、と言われたら、私達は黙って従えるだろうか。つまりこの小説で言っている事って、そういう事なのだ。第二次大戦、ナチス政権下ではジャズは敵性音楽だった。そんな理不尽と抑圧と全体主義に対して「誰得だよ」とか「うぜえ」とか言いながら、ジャズを手放さない不良少年達。こんな風に文体を1940年代から現在にスイッチさせた佐藤亜紀のセンス、本当に素晴らしいと思う。だって、ナチス政権のバカバカしさや戦争の愚かさを、身近に感じる事ができたのだから。2018/01/22

雪風のねこ@(=´ω`=)

155
戦場のコックたちと似たニュアンスかなと読み始めて、ドイツは敗戦国だったと思い直す。言い回しが小気味良く適度な刺激で読み進められる。エディは、イロニーは無いと嘯いているけれど、パーティを催し、海賊盤を作り、工場も運営し…。それが彼のイロニーでは無いかと思う。世は何時もお前より一枚上手だ、と叔父に言われるが、ゲッベルスが自前のバンドを持ち…という件から、真理としてさらに一枚上手だったと言える。人間の本能的な喜びは制度や暴力では止められない。止める側が止めてないからだ。そういうイロニーが込められた作品である。2017/04/27

🅼🆈½ ユニス™

147
ナチス政権下のドイツで金と時間だけを持て余すボンボンの悪ガキどもが、敵性音楽と呼ばれるジャズに夢中になって仲間たちで享楽的な毎日を送る。恵まれた環境の中で不良を気取り、ゲシュタポを馬鹿にしていた奴らが時代の嵐に立ち向かう姿を著者は立体的に独特な描写で伝えて来る。戦時下のドイツの若者の状況を始めて垣間見た気がした。中々面白かった。同じ時期を背景に描いた’また、桜の国で‘も是非読んでみたい。2018/12/27

seacalf

115
ナチ支配下のハンブルクを舞台に、成り上がり経営者の御曹司、斜に構えたお坊ちゃんが主役の物語。jazz狂いの悪童ではあるが、ナイーブさを持ち合わせた主人公エディは憎めない奴。現代風にした台詞まわしに若干違和感を覚えるが、ストーリーはがっつり濃厚。洒落っ気が利いた若者達の青春物語に、戦争の醜さを絡めていく非常に上手い小説。脇を固める登場人物達もエディ以上に魅力的なくらいだ。ただ、賢しく上っ面を滑るように物語が進行してゆき、自分の肌には合わなかった。上手いんだけど、物語にスウィングできない。好みの問題かな。2017/08/18

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