失われた過去と未来の犯罪

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  • サイズ B6判/ページ数 308p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784041034699
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

『アリス殺し』の鬼才が贈るブラックSFミステリ、ここに開幕。ようこそ、謎と人間の新しい可能性へ――。
『アリス殺し』の鬼才が贈るブラックSFミステリ、ここに開幕。

全人類が記憶障害に陥り、長期記憶を取り外し可能な外部装置に頼るようになった世界。
心と身体がバラバラになった今、いくつもの人生(ル・ものがたり)を覚えている、「わたし」は一体何者――?


◆女子高生の結城梨乃は、自分の記憶が10分ともたないことに気が付いた。いち早く状況を理解した梨乃は急いでSNSに書き込む――「全ての人間が記憶障害に陥っています。あなたが、人類が生き残るために、以下のことを行ってください」。それから幾年。人類は失った長期記憶を補うため、身体に挿し込む「外部記憶装置」(メモリ)に頼り、生活するようになった。

◆「わたし」の中には、なぜか何人分もの記憶、思い出が存在している。「替えメモリ受験」をしようとした学生の話。交通事故で子供を亡くした父親の話。双子の姉妹の話。メモリの使用を拒否する集団の話。謎の「声」に導かれ、「わたし」は自分の正体をついに思い出す……。

物語の終幕に、「進化の果て」が浮かび上がる。


小林 泰三[コバヤシ ヤスミ]
1962年京都府生まれ。95年「玩具修理者」で第2回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞。98年「海を見る人」で第10回SFマガジン読者賞国内部門を受賞。『アリス殺し』で啓文堂文芸書大賞受賞。その他の著書に『人獣細工』『肉食屋敷』『家に棲むもの』『脳髄工場』『忌憶』『臓物大博覧会』『人造救世主』など多数。

内容説明

女子高生の結城梨乃は、自分の記憶が10分ともたないことに気が付いた。いち早く状況を理解した梨乃は急いでSNSに書き込む―「全ての人間が記憶障害に陥っています。あなたが、人類が生き残るために、以下のことを行ってください」。それから幾年。人類は失った長期記憶を補うため、身体に挿し込む「外部記憶装置」に頼り、生活するようになった。『アリス殺し』の鬼才が贈るブラックSFミステリ、ここに開幕。

著者等紹介

小林泰三[コバヤシヤスミ]
1962年京都府生まれ。95年「玩具修理者」で第2回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞し、デビュー。98年「海を見る人」で第10回SFマガジン読者賞国内部門を受賞。『アリス殺し』で2014年啓文堂書店文芸書大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

❁かな❁

173
初めて小林泰三さんの作品読みました!ある日突然、大忘却により全人類、長期記憶できなくなるところから物語が始まる。まずこの設定から面白い!もし10分しか記憶ができなくなったら本当に不安で怖いだろうなぁ。第二部でその後の世界で様々な人々のことが描かれる。家族でドライブ中に事故にあった大槻さんのお話はみんなの気持ちがよくわかり、いっぱい涙が溢れた。哲司と智紗子の話は少しキュンときた♡身体はその人だけど記憶のメモリは別の人で…とかなると本当に複雑。記憶、人格、魂など色々考えさせられる。他の作品も読んでみたいな♫2018/03/17

みっちゃん

118
うわっ!全人類があの「記憶破断者」に!?しかも記憶の維持がたった10分て、さらに短いわ!これはもう、殺人やらさらに気持ち悪いことが続々…という私の浅はかな予想は完全に外れた。この「大忘却」を乗り越える為に人類が生み出したある装置を巡って、想像の翼か広がる、広がる!よくこんな事考えつくなあ、と感嘆。題名の「犯罪」はどうだろう?とは思ったけど、人類が遭遇する「かもしれない」未来を示唆しているようで、興味深い本ではあった。2016/08/23

のっぱらー

77
とあるきっかけから、全人類が長期記憶を保持できなくなり、外部メモリに記憶を保持するようになった世界。そんな世界で巻き起こる、『そうだよねぇ』とも思える出来事の数々。そこから物語は『魂とは何か?』という哲学的方向へ進み、最終的にはSF的結末へ・・・。『記憶破断者』など、事あるたびに短期記憶が保持できない主人公を描いてきた著者の集大成とも言える作品。思った以上のスケールの大きさに、このテーマに賭ける著者の想いがビンビン伝わってきました。2016/07/30

ゆかーん

68
忘却の彼方…。10分前の記憶が消滅してしまう世界。唯一メモを取ることで、これまでの行動を整理できたが、記述に頼るばかりでは限界があった。記憶障害用アプリ「大忘却」の開発に成功した梨乃は、長期的記憶の維持に成功する。人々の体に半導体を装着し、メモリを保存するようになった未来。しかし、問題が発生してしまった…!体は朽ちても、人々の記憶は残り続けてしまう障害。肉体がなくても、メモリさえあれば生き続けられるという発想は、果たして正しいのか…。肉体=魂ではなく、記憶=魂という考え方に変わる時代が来るのかもしれない。2016/07/30

ひさか

66
文芸カドカワ2015年7月〜2016年4月号掲載のものを2016年5月KADOKAWAから刊行。長期記憶を外部メモリで補うしか、すべがなくなった人類世界を語る。人格の転移や、死者の復活ができる外部メモリとはどういうものか、考えてみましたが、想像もできませんでした。ファンタジーな世界です。2016/09/28

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