出版社内容情報
伊東 潤[イトウ ジュン]
著・文・その他
内容説明
関東の覇者・北条氏康の七男に生まれ、幼少期を箱根権現で過ごした三郎は、越相同盟の証として上杉謙信の養子となる。謙信から初名「景虎」を受け継ぎ、越後、相模・甲州の平和という理想を抱くが、覇権を争う三国間での同盟関係がめまぐるしく変転するにつれ、上杉景勝との家督相続争いにも巻き込まれてゆく。悪と欲に満ちた世に義の旗を立てるべく、己の理想を貫き、乱世を駆け抜けた若き武将の生涯を描く、本格歴史小説!
著者等紹介
伊東潤[イトウジュン]
1960年、横浜市生まれ。早稲田大学卒業。外資系企業に長らく勤務後、文筆業に転じ、歴史小説や歴史に材を取った作品を相次いで発表している。『国を蹴った男』で第34回吉川英治文学新人賞、『黒南風の海 加藤清正「文禄・慶長の役」異聞』で、「本屋が選ぶ時代小説大賞2011」、『義烈千秋 天狗党西へ』で第2回歴史時代作家クラブ賞(作品賞)、『巨鯨の海』で第4回山田風太郎賞を受賞。『城を噛ませた男』『国を蹴った男』『巨鯨の海』で3度の直木賞候補となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ポチ
53
数奇な運命に弄ばされたかのような、上杉三郎景虎。だが、その義は死ぬまで変わらずとても清々しい。反対に、樋口与六と上杉景勝の悪人振りが際立っていたが、そんな2人もたまにはいいかな。2020/06/25
あも
35
相模の獅子・北条氏康の末子三郎は、激動の関東情勢の中、望む望まぬに関わらず立場を変えられていく。北条家の藩屏として立ったと思えば一転上杉謙信との同盟を証する人質へ、そして謙信の養子嗣となるも謙信の急死により凄惨な後継者争いへと。北条、上杉、武田、織田…戦国の巨人達が巻き起こす強風に翻弄される脆弱な旗のような存在であった彼は、若く青く清冽な野心を胸に大地を踏みしめる。自身の旌旗は自らの起こす風でこそ、たなびかせることを求めて。とにかく悲しい。元々そこまで好きでは無かった直江兼続がより嫌いになる一冊だった…。2016/09/27
hippos
19
上杉景勝や直江兼続の嫌な奴っぷりは見事に描かれているのに肝心の景虎が戦国大名として生き残るには甘すぎる。もう少しタフなところも描いてくれたら感情移入できたかも。 景勝や兼続側からの視点で書かれたものがあれば読んでみたい。2021/05/15
Wan-Nyans
19
★★★★★戦国の世の無情さに身震いした。謙信の二人の養子である景虎・景勝の家督争いを、北条家出身の景虎(北条氏康七男)を主役に据えて描く。「御館の乱」の結末は、予想がつくとはいえ、余りに残酷。義を貫く謙信の意志を引き継ぐと共に、氏康の掲げる、民の為の関東静謐を目標にする景虎。一方、上田長尾一派の権力独占を目論む景勝と樋口与六(後の直江兼続)。まだ十代に過ぎない与六の策謀により景虎の理想は潰える訳だが、その後の上杉家はかつての勢いを失い、加担した武田勝頼も滅亡への道を歩む。姉妹作「武田家滅亡」も読まねば。 2017/12/03
ちばと~る
19
こないだ読んだ「武田家滅亡」の姉妹編。謙信死後の跡目争いである御館の乱を敗者である景虎の視点でジックリ描いた傑作!北条氏康の7男だった三郎は越相同盟の人質として越後へ。厳しい人質生活を覚悟するも、予想に反して謙信の後継者へ!しかし悪辣非道な直江兼続と上杉景勝が!!あ〜ムカつく!!景虎もかわいそうだけど道満丸まで殺すなよ〜。一気に直江兼続が嫌いになるオススメの一冊です!!2017/02/27