出版社内容情報
老舗薬問屋の元祖と本家争いに端を発した惨事が大事件に発展するなか、若き名探偵・金田一耕助は雀の巣頭を掻き毟りながら真相究明に挑む。豪華二大名探偵による夢の共演、パスティーシュワールド!
内容説明
昭和12年、大阪。老舗薬種商の鴇屋蛟龍堂は、元祖と本家に分かれ睨み合うように建っていた。エスカレートする本家・元祖争いで起きた惨事が大事件に発展するなか、若き名探偵・金田一耕助は、トレードマークの雀の巣頭をかきむしりながら真相究明に挑む。もう一人の名探偵・明智小五郎も同地に到着して―!?豪華二大名探偵の共演作に、本文庫のための書き下ろし「金田一耕助対明智小五郎」を加えた、目眩くパスティーシュワールド。
著者等紹介
芦辺拓[アシベタク]
1958年大阪市生まれ。同志社大学法学部卒業。86年「異類五種」で第2回幻想文学新人賞に佳作入選、90年『殺人喜劇の13人』で第1回鮎川哲也賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
94
タイトルのパスティーシュ作品を含む、7作品。明智と金田一の物語は、まだ若い探偵を始めたばかりの金田一の雰囲気が良く出ていると思う。また、明智の作品らしい変装を使った驚かせ方は、良くやりました級の喜びが有る。芦辺氏が悪い訳ではないが、乱歩先生横溝先生の作品は思わず引き込まれるのだ、再確認となってしまった。次のホテルミカドの殺人は、チャーリー・チャン警部にサム・スペードと豪華出演者だが、彼ら独自の活躍の場が欲しい。その他も、原作の事件の前に間に、実はこんな事が在りました的な設定は、妙に楽しい上納得してしまう。2018/08/27
ダイ@2019.11.2~一時休止
86
名探偵博覧会その3?。短編集。7編のうち4編は前作・前々作にて既出。残り3編は国内探偵なんで読みやすくてイイ感じ。でも探偵防御率が低いほうが犠牲者が多いって表現になっているけど逆じゃないの?。2014/09/30
🐾Yoko Omoto🐾
61
横溝と乱歩の世界観を、非常に巧く再現されたパステイーシュ作品。表題作は、金田一が本陣殺人事件に巻き込まれる直前、また明智小五郎が終生のライバル怪人二十面相と出会う直前に遭遇した事件として描かれている。文体も両巨匠を彷彿とさせるように模されており、謎解きから解決まで納得の出来ばえ。他に、金田一が海外で薬物依存に陥っていた頃の事件や、二十面相誕生の逸話など(勿論芦辺氏の創作なのだが)原作のスピンオフ的な物語が、年代に齟齬のないよう構成されており完成度の高さが伺える。懐かしい探偵小説の香りが漂う良質な作品。2013/09/23
HANA
57
杉本一文の表紙と背表紙を見た瞬間、この装丁をした人はわかってる、と言いたくなった。杉本一文のこのタッチを再び目にすることが出来るとは…。金田一耕助が出てくるのは冒頭と最後の二編だけで、ほとんどが乱歩と明智小五郎に関係するもの。金田一を期待した身としては少し残念だったが、かつて胸を躍らせた様々な怪人たち、二十面相を始め、人間豹、蜘蛛男、魔術師の名前を目にし、彼らが名探偵と虚々実々の駆け引きを繰り広げるとなったら何をか言わんや。どこかに行ってしまった彼らと再び再会できる日が来るとは、まさか思わなかった。2013/05/09
りょうこ
43
まさしく夢の共演!明智小五郎の方は数作品しか読んだ事はありませんが、金田一耕助の方はほとんど知ってるものばかり。久々に金田一耕助に会えて、満足の1冊になりました(≧▽≦)もっと金田一さんの活躍が見たかったなぁ!2013/05/14