出版社内容情報
国際援助の美名の裏に蠢く利権と欲望! 城山三郎経済小説大賞受賞作。
かつて東ティモール暴動で落命した従兄、稔の影を追い、中部ジャワ地震の取材に赴いた週刊誌記者の菜々美は、海外援助の現場でその表と裏に直面する。稔の死に疑惑も浮上し・・・。城山三郎経済小説大賞受賞作。
内容説明
菜々美の従兄・稔は8年前、新聞記者として赴任したインドネシアの東ティモール独立紛争に巻き込まれ死亡した。最後の便りはロロ・ジョングラン寺院の写真だった。週刊誌記者となった菜々美は、インドネシア・中部ジャワ地震の現地取材で、NGOボランティアや国際開発コンサルタントの日本人と出会い、国際協力の裏側を知る。稔の死に芽生えたある疑念とは。国際援助のあるべき姿を問う、第1回城山三郎経済小説大賞受賞作。
著者等紹介
松村美香[マツムラミカ]
東京生まれ。中央大学卒業後、青年海外協力隊として2年間タイに滞在。帰国後、筑波大学大学院で修士(経営学)を取得、国際開発コンサルタント業務に携わり、カンボジア、インドネシア、モンゴル、エチオピアなどの開発調査に参加。2008年『利権聖域―ロロ・ジョングランの歌声』で第1回城山三郎経済小説大賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ラブミーテンダー
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悪くないとは思うんだが、なんだか恋愛方面に力入れすぎ。経済小説とはあまり思えない・・2016/09/14
Yoshiyuki Mizouchi
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ちょっと強引なお話の展開。。。。でもODAや人道支援を引いた視点で理解する入り口としては読みやすいかな。2015/04/17
スライサー
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ODAが主題と言う経済小説の中でも珍しいタイプの作品。 ただ、主人公を取り巻く偶然はやり過ぎだろ的な感じもする2014/09/18
Nachchaduwa
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東チモールの独立の混乱のさなか、一人の新聞記者が現地で殺害された。 ODAに関わる利権と住民の思い。 登場人物の愛憎をからませて、スケール大きく、骨太なタッチで描いている。 率直なところ、経済小説なのか、恋愛小説なのか、全体が拡散傾向にあることと、ODAの枠組みについて整理しきれていないという印象を受けた。これら課題は、次の作品「利権鉱脈」で消化されている感がある。2014/01/12
Yoshiki Ehara
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インドネシアを舞台に、援助のあり方を問う経済ミステリー。国際社会、日本の社会・経済の変化とともに、日本のODAも大きく変わっている。その変化に、省庁、商社、ゼネコン、コンサル、NGOなども変わることを余儀なくされている。著者は実際にODAに関わるコンサルで、裏も表も熟知しているだけに、事実に近いフェアな書き方をしている。似たようなテーマの服部真澄「天の方舟」よりはるかに良い。 ミステリーとしては、そこそこ。全体的には良くできているが、主人公の周囲の人間関係など、あまりにもご都合主義的なのが気になった。2012/10/28