角川文庫
どうして僕はこんなところに

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 521p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784041000298
  • NDC分類 935
  • Cコード C0198

出版社内容情報

天才紀行作家の自選短編集、待望の文庫化。

旅を愛し、特異な眼差しで世界を凝視し続けた永遠の旅人ブルース・チャトウィン。偉大なる冒険家にして天才紀行作家が最後に残した自選短編集。

内容説明

旅を愛し、特異な眼差しで世界を凝視しつづけたチャトウィン。研ぎ澄まされた言葉で記される旅の記憶は、彼が見出した“奇跡的な何か”を感じさせてやまない。偶然が引き起こす様々な出逢い―人間であり、場所であり、時に歴史的な事件でもあった―が彼にとって旅のすべてであり、本書はまさに彼の旅そのものとも言える。類まれなる紀行作家だった夭逝の天才が、旅の果てにくずおれる前に遺した、最初で最後の自選作品集。

目次

1 友人たちと家族のために
2 不思議な出会い
3 友人たち
4 出会い
5 ロシア
6 中国
7 人々
8 旅
9 さらに二人の人々
10 コーダ
11 美術界

著者等紹介

チャトウィン,ブルース[チャトウィン,ブルース][Chatwin,Charles Bruce]
1940‐89。英国シェフィールド生まれ。モールバラ・カレッジ卒業後、サザビーズに就職。有能な美術鑑定士として8年間勤務するが、旅への情熱を抑えきれず退職。エジンバラ大学で考古学を学んだ後、3年間「サンデー・タイムズ」の記者を務める。1977年に最初の紀行小説『パタゴニア』を発表、英国ホーソンデン賞およびE.M.フォスター米国芸術アカデミー賞を受賞。80年に『ウィダの総督』を発表、世界的なベストセラーとなった『ソングライン』(87)は、紀行作家として彼の名を知らしめた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

長谷川透

29
旅の中に生き旅の中で病のために朽ちた作家による自選作品集。亡くなったその年に書かれた作品も収められているから、闘病の最中に書かれ編まれた作品である。自らの死を覚悟しながら為されたものかどうかはわからないが、死の間際に為された自らの紀行の回想とも呼べる編集作業を考えると胸が詰まる。これは唯の紀行文集ではない。チャトウィン自らが語る様に、ある種の民族、そして旅の中に生きる人間は、移動することそれ自体にカタルシスを見出す。闘病の中で移動することを奪われたチャトウィンは編成作業の中にカタルシスを求めたのであろう。2013/06/05

三柴ゆよし

25
生涯の旅人であったチャトウィン晩年の文章をまとめたもの。思うにこの人のまなざしには、いわゆるフィルターのようなものが存在しなかったのではなかろうか。そんな気がする。エッセイとも小説ともつかぬ、スタイルに束縛されない、自由闊達な文章は、チャトウィンの生き方をそのまま体現しているかのようであり、異国の景色や人びととの出会い、友人との交流を、さりげない筆致で生き生きとすくいあげている。長篇『ウィダの総督』の元ネタになったダオメー(現ベナン共和国)滞在を描いた文章が特に印象深かったので、そちらも是非読んでみたい。2012/07/08

紫羊

19
旅の記録というより、旅で出会った人たちについての述懐。チャトウィンに選ばれた人たちは皆ユニークで魅力的。それはチャトウィンの人間観察の鋭さゆえか。何より彼自身が人好きのする魅力的な存在だったことがよくわかる。2022/12/11

翠埜もぐら

16
閉館の決まった岩波ホール最後の上映作「歩いて見た世界 ブルース・チャトウィンの足跡」を見るために読んでみました。1970年代初頭から亡くなる1988年までのエッセイやインタビューなどを集めた自選短編集。大変にぎやかで押しの強い人だったようですが、文章は穏やかで控えめ、それでいて端々から笑いや感動憤りなどがちゃんと感じられ、なおかつ押しつけがましくないと言う、不思議な文章です。一歩引いた見方と言うのでもなく、直観ではなく、深い教養と知識に裏打ちされた本質を見極めようとする姿勢が紡ぎだす言葉だと思いました。2022/06/21

つーさま

16
ブルース・チャトウィンの名は、以前より知ってはいたものの、その作品を読むのははじめて。あとがきによると、本書は死を前にして遺した最初で最後の自選作品集であるそうだが、そうとは思えないほど語り口は落ち着いている。知識に裏打ちされた軽やかな筆致は、旅することで出会ったその土地土地に眠る謎や真実、暗い過去をしっかり捉えようとする強い意志と鋭い眼差しを感じさせ、読むものに終始息つく暇すら与えてはくれない。おそらくここに描かれていることは、彼が体験したことのほんの一部にすぎないだろう。(続)2013/07/06

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/4724742
  • ご注意事項

最近チェックした商品