出版社内容情報
「空気」が金に化け、「環境保護」が利権を生む!排出権市場開拓のため世界各地に飛んだ大手エンジニアリング会社の松川冴子。そこで彼女が見たものは……。環境保護の美名の下に繰り広げられる排出権ビジネスの実態を描いた傑作!
黒木 亮[クロキ リョウ]
著・文・その他
内容説明
大手エンジニアリング会社の地球環境室長・松川冴子は、排出権市場開拓のため世界各地を飛び回る。そこは国連、各国政府、企業、金融機関が利害をかけて激突する温暖化ビジネスの戦場だった。一方、同社の次期社長の座を狙う専務の仙波は収益目標達成のため粉飾決算に手を染め、それを嗅ぎつけたニューヨークのカラ売り屋「パンゲア」の北川が、猛然と株を売り浴びせる。知られざる排出権ビジネスの実態を徹底解明した衝撃作。
著者等紹介
黒木亮[クロキリョウ]
1957年、北海道生まれ。カイロ・アメリカン大学大学院(中東研究科)修士。都市銀行、証券会社、総合商社に23年あまり勤務し、国際協調融資、プロジェクト・ファイナンス、航空機ファイナンスなど数多くの案件を手がける。2000年『トップ・レフト』で作家デビュー。英国在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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しあん
20
本当にすごいボリュームのある本で、内容も難解でなかなか読み進めませんでした。作者が作家になる前のプロフィールも凄くて、頭の良い人が書いた小説だなって感じでした。2018/07/06
てつJapan
16
【良かった】2009年10月出版の加筆修正版。続編がでないだろうか? ・ エンジニアリング会社で排出権ビジネスに挑戦する女性室長が主人公。 ・カラ売り屋や野心的な常務などがいろいろからむ。 ・ 時代は震災前でまだ首都の電力会社がぶいぶいいっていたころの話。 ・ 欧米諸国の思惑や、中国企業とのビジネスなど、実際こんな感じだったのだろうと思える話。 ・ 女性室長のできる同期の思いもせぬ行く末。2022/06/02
ウルラニ
12
黒木亮さんお得意のグローバル金融小説。排出権の勉強にはなったけど、他の作品に比べるとややのめり込めなかった。「空気を売る商人」という例えが、バブル的な性質を捉えて、言い得て妙。★★☆☆☆2016/09/01
makimakimasa
10
中年キャリアウーマンが世界中を出張しまくって、同時並行でどんどんプロジェクトが動き出すのだが、ふとなぜ自分は余暇の時間にわざわざ人の商談に付き合わされてるんだろうという気持ちになる。本気のお仕事小説で、人間ドラマは薄味。部下の若手男性社員など、それなりに登場頻度高かったが、最後まで名前も与えられず…。でも北京事務所の東松さんや武さん、同期の小林さん、ペナン在住のご隠居インド商人まで、皆人柄も良く一緒に仕事したくなる人達だった。良い意味でリアルだが、難しい用語いっぱいで、頭空っぽで楽しめるエンタメではない。2020/10/31
幹事検定1級
5
黒木さん得意の金融フィクションですが、ほとんどノンフィクションですよね。CO2取引を初めて深く知りました。「空気が金になる」、まさに知らない人にはそう思ってしまいます。この小説を書かれるためにたくさんの文献をお読みなって書かれており、読者はこの本たった一冊で概略を理解しつつ、読書の楽しさも味わえ一挙両得です。本の最後の、米国のとある教授の言葉、「地球温暖化問題は世紀のペテン」。真実は未来が教えてくれるのでしょうか?確かに地球の長い営みや太陽の巨大な力と、C02の影響は次元が違うのかもしれません。2014/04/11