出版社内容情報
呉座 勇一[ゴザ ユウイチ]
著・文・その他
内容説明
本能寺の変に黒幕あり?関ヶ原は家康の陰謀?義経は陰謀の犠牲者?ベストセラー『応仁の乱』の著者が、史上有名な陰謀をたどりつつ、陰謀論の誤りを最新学説で徹底論破。さらに陰謀論の法則まで明らかにする、必読の歴史入門書!!
目次
第1章 貴族の陰謀に武力が加わり中世が生まれた
第2章 陰謀を軸に『平家物語』を読みなおす
第3章 鎌倉幕府の歴史は陰謀の連続だった
第4章 足利尊氏は陰謀家か
第5章 日野富子は悪女か
第6章 本能寺の変に黒幕はいたか
第7章 徳川家康は石田三成を嵌めたのか
終章 陰謀論はなぜ人気があるのか?
著者等紹介
呉座勇一[ゴザユウイチ]
1980(昭和55)年、東京都に生まれる。東京大学文学部卒業。同大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。専攻は日本中世史。国際日本文化研究センター助教。2014年『戦争の日本中世史』(新潮選書)で第12回角川財団学芸賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
170
2019年新書大賞第3位。 陰謀渦巻く中世日本の作品である。 保元・平治の乱に始まる 陰謀の数々… 歴史物の楽しさが 素直に伝わる。 勝者によって 語られる歴史とは 違う 側面が語られる…結果を知っている 人間が陥りやすい 陰謀説と、 結果からの逆算の危険性を 著者は 警告するが…そんな読み方も 歴史物の楽しみである、ということを 再確認できる…そんな書物だった。2019/03/24
もりやまたけよし
133
日本史のトンデモ本は意外と好きで良く読むが、読んだ後に後悔することが多い。その原因をスッキリ教えてくれる効用の高い本でした。冷静になって史実と向き合うと、歴史上の成功者でも思い通りにいかない事ばかりだったんだと納得しました。と言うことは歴史上の人物に影響を受けて同じように行動すると失敗する確率が高いと言うことかな。2018/05/15
とん大西
114
夏ぐらいから気が向いたときにちびちび読んで漸く読了。そそるようなタイトルと『応仁の乱』でブレイクした著者さんの新作ということで衝動買いしましたが、…ちぃと難しかったなぁ。故意か過失か。さながら歴史上の事件の裁判記録、判例解説を読んでいるよう。たしかに『結果から逆行して原因を引き出す』との指摘はホンマおっしゃる通り。「ほらね、やっぱ義経が頼朝に嫌われてからやん」、「家康がまんまと三成を手玉に取ったよね」-数多ある俗説が次々と論破されてしまいます。我々は歴史をみる時、無意識に「陰謀」を調味料にしてるんやねぇ。2018/11/28
えちぜんや よーた
113
これは手強い本。NHKの大河ドラマ制作サイドの人には。2020年のNHK大河は「麒麟がくる」。日本ドラマ史上で脇役の超有名人・明智光秀が主人公だ。明智光秀という名前を聞いて、次に浮かぶキーワードは「本能寺の変」。「本能寺の変」界隈で飛び交う陰謀・通説・創作について1つ1つ論破しているので、ドラマの作り手としては制作のハードルを上げられてしまったと感じるのではないだろうか。しかも書いている人は複雑怪奇な「応仁の乱」を解説してヒットさせた呉座勇一先生ですし。2018/10/24
パトラッシュ
102
著者は陰謀を嫌悪しているが、陰謀のない歴史など存在しないのでは。関が原合戦前の徳川家康と石田三成の謀略合戦とか、幕末に西郷隆盛が幕府側を暴発させるため江戸を焼き討ちするなど陰謀をめぐらせた話は有名だし。第二次大戦中イギリス情報部がナチスドイツを欺くため様々な陰謀を仕掛けていたことを明らかにする本も出ている。ためにする「陰謀論」ではなく「陰謀をたくらむ人が必ずいる」という前提で歴史を見る必要があるのでは。特に大名や国人衆、商人、坊主、公家らが入り乱れた中世は敵味方定まらずなのが当たり前の時代だったのだから。