出版社内容情報
月夜の雪の森で、わしみみずくに会った少女の胸の高鳴りと、大自然との交歓をみごとに描く詩の絵本。 6才から
内容説明
父親とみみずく探しに出かけるのを心待ちにしていた少女の心の動きが詩情ゆたかに語られる。月夜の雪の森で、わしみみずくに会った少女は、大自然との交歓を味わう。1988年度コルデコット賞受賞。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ
209
冬が待ち遠しくなる絵本。長く続く厳しさは美しさを併せ持つ。薄明の月、静寂の森の夜は、言葉にするのではなく、心のなかで思うことが大切。雪はなぜこんなに白いのだろう。雪原に落ちる樹形の影の隙間を、とうさんの足跡を追いかけて私の小さな影はついていく。いつでも会えるとは限らないんだ。でもここにいる。そう感じるだろう。きっと今日は来てくれる。そう願うこと、でも求めすぎないこと、ドキドキすること、もし会えなくても感謝すること。ようこそ。なぜこんな寒い夜にここまで来たの。やがて大きな翼は音もなく森の奥へと消えていった。2023/08/20
じいじ
124
父と幼い娘が、みみずくを探しに森に向かいます…。雪の積もった寒い夜、月がきれいな夜です。父娘の願いがかなって・・・。娘の目線で語られる物語。みみずくと対話できるお父さん、そんなお父さんを敬愛する、娘のやさしい心根が伝わってきます。心温まる素敵な絵本です。絵も素晴らしいですよ。2018/03/26
アン
101
「あいたいな あえるかな」冬の夜ふけのぴんと張りつめた空気、きらきらと舞う星屑、しんしんと鳴る汽笛…。月の光のベールに包まれ神秘的な雪一面の森へ、父親と一緒にみみずくを探して歩く少女の心の揺らめきがありありと伝わって。わくわくする胸の高鳴り、初めて見る奥深い森への畏怖。父親に守られ、勇気を抱く少女の純粋さが愛らしく、親子の触れ合いに心が温まるよう。緊張やときめきで、息遣いまで聴こえそうな静寂な大自然での体験は、きっと少女の宝物に。リズミカルな言葉と味わいのある絵も素晴らしく、大人の心にも響く素敵な絵本。 2022/12/17
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
98
冬の森。みみずくに会いに出かけた父娘。大切なのは森のルールに従うこと。静かに、静かに、おしゃべりはいらない。会えるか会えないか、ワクワクしながら自分にできることをしよう。やがて夜の帳がおりて月が顔を出す。夜の森はちょっと怖い。遠くで声が聴こえる。ほーほう。近づいている。寒くて耳が痛い。目がちかちかする。ほーほう。影がみえた気がした。息をひそめてみつめる……。自然との触れ合いを美しく描いた本。1988年コルデコット賞。2015/09/21
masa@レビューお休み中
84
冬の夜更けの景色。雪国で育った者なら、誰しも経験があるはずだ。あの圧倒的な雪に覆われた世界の美しさを。そんな、銀世界の美しさを余白を使って表現しています。余白にはもちろん、何も描かれていないし、色も塗られていません。それにも関わらず、ちゃんとそこに雪があるのがわかるんですよね。こんな光景を見せられると、久しぶりに真っ白で、幻想的な雪景色を眺めたくなってしまいます。物語は、夜が更けて、みんなが寝静まった頃に、父さんとわたしがでかけるところから始まります。景色の美しさはもちろん、父と娘の関係性も素敵なのです。2013/04/04