内容説明
いつか、わたしは思い出すだろう、遠い昔、はるかな草原をあなたと旅したこと―せつなさと希望にみちた始まりの物語。
著者等紹介
湯本香樹実[ユモトカズミ]
1959年東京都生まれ。東京音楽大学卒業
植田真[ウエダマコト]
1973年静岡県生まれ。雑誌『イラストレーション』の「ザ・チョイス」98年度グランプリを受賞。書籍装画、挿絵、CDジャケット、広告など幅広い分野で活躍している
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感想・レビュー
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chimako
67
不思議なお話。生まれる前に小さくて死んでしまったおじさんと暮らす。そこにはじいじもばぁばも居る。お母さんが幸せだと草のしるも甘い。雨も甘い。そこでいつまでも遊んでいたい。けれど私は知っている。いつかは行かなければならないことを。おじさんのこと、忘れないかな?ゴリラに会えるかな?……「あっ、ここ来たことある」そんな風に思ったらそれはきっと誰かの想い。誰かの思い出。誰かの幸せ。2015/05/20
ベーグルグル (感想、本登録のみ)
45
主人公であるの「わたし」が産まれる前、「わたし」のお母さんの弟であるコウちゃんに出会う。コウちゃんはおじさんだけど小さい時に亡くなってしまったので姿は子供。ひと時の間、一緒に過ごしている時間がとても優しく、生まれる前にはこうやって縁がある方が見守ってくれるんだな~と思うと心が温かくなってくる。孫を見ずに亡くなった母もこうやって子供といてくれたのかな・・。ありがとうと空を見上げて思いを馳せた。植田真さんの挿絵もピッタリでした。2019/12/30
shizuka
43
とっても短いお話だけれど、大切なこころ、思いが全部つまっているよう。まだ生まれる前のわたしと、ずっと前に死んでしまったわたしのおじさんとの、この世のどこかでの生活、日常。私もまだ名前をもらう前、ここにいたのかな。つながりあるおじさんやおばさんやおじいさんやおばあさんと、束の間暮らしていたのかな。すてきな場所だから生まれることに迷いが生じる。でも背中をおしてくれる誰かと自分の勇気と待っている母親の力で、生まれることができたんだ。子を待つ父よ、母よ、子供は辛い別れを乗り越え、あなたたちの元へやってきます。2016/01/29
野のこ
39
不思議な世界だった。薄い薔薇色の空、草の甘い汁、古い家のにおい、おかあさんの世界、わたし(まだ名前がない)とおじさんのコウちゃんが過ごした時間のように、私たちにも生まれる前の物語のような世界があるのかなぁと想像しました。想像したけど何も浮かばなかった。挿し絵は文章を絵にしたみたいに 優しく可愛いらしい。名前を持ったわたしの新しい世界でのお話もあったら読んでみたいな。2018/01/10
TANGO
35
図書館本。なんだか懐かしくなったり、泣きたくなったりする時に、この頃のことを思い出してるのかもしれない、と思った。児童書にあったけれど、明るいだけじゃない、示唆に富んだ1冊。2014/01/16