出版社内容情報
なぜ宇宙は、人間たちが作った理論(数式)にこれほど従っているのか? ブラックホールから重力波まで「さすがに実在しないだろう」と思われたものが、技術の発展によって続々と明らかにされている。神が仕組んだとしか思えない驚きの宇宙の姿とは。
内容説明
かつて数学的な解にしかすぎないと思われていたブラックホールや重力波。これらが実在することが、続々と確認されている。なぜ宇宙はこれほど理論どおりなのか?神が仕組んだとしか思えない驚きの法則の数々と、それを解き明かす研究者たちによる、執念の探求の営みを紹介。数式が苦手でも鑑賞するだけでわかる、最新宇宙物理学。
目次
第1章 本書に登場する数式の鑑賞法
第2章 世界を支配する法則とは
第3章 宇宙観の変遷とニュートン理論
第4章 宇宙は一般相対論に支配されているのか
第5章 宇宙最古の古文書に刻まれた暗号を数学で解読
第6章 ブラックホールと重力波で宇宙を見る
最終章 法則、数学、そして宇宙
著者等紹介
須藤靖[ストウヤスシ]
1958年高知県生まれ。東京大学大学院理学系研究科物理学専攻教授。東京大学理学部物理学科卒業、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士課程修了(理学博士)。専門は宇宙物理学、特に宇宙論と太陽系外惑星の理論的および観測的研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
111
須藤先生の確信に満ちた物理学的世界観を満喫できる。「宇宙そのものが法則」「宇宙は信じがたい精度で数学的な法則に従っている」として、ニュートン理論から一般相対論への展開、一般相対論の予言に基づく宇宙の膨張や重力波の発見、一般相対論の基礎方程式の解としてのブラックホールなどの事実を解き明かす。以前、須藤靖先生と伊勢田哲治先生(哲学)による「科学を語るとはどういうことか――科学者、哲学者にモノ申す」で、全くかみ合わない二人の議論をとても面白く読んだが、なるほど、物理学者は確信犯なのだと改めて納得する。面白い!2022/03/06
まーくん
101
著者の須藤先生は軽妙でウイットに富んだエッセイ(?)を何冊も書かれており、とても楽しく拝読した。勿論、『解析力学・量子論』などという、覚悟して読まないと本代を無駄にしてしまう恐れのある本もたくさん著されている。本書で著者は「この世界は法則に従って動いており、その法則は数学で記述されている」と主張する。ニュートンの万有引力からアインシュタインの一般相対論への発展の意味を宇宙論の立場から論じ、アインシュタインが一度は捨てた宇宙項が再び宇宙定数Λとして宇宙の加速膨張やダークエネルギーの存在に関わってくるという。2022/03/13
rosetta
23
生まれ変わりを信じてはいないが、もしあるのなら次回は数学者か理論物理学者になりたい!内容的には既読のサイモンシン『ビッグバン』(2006)や松原隆彦『宇宙に外側はあるか』(2012)で理解した内容と変わりないがそれでも10年分の研究成果がある。重力波については新たな知見を得たと思う。プランク時刻(宇宙誕生から10の-44乗秒後)については今の物理学では語れない、大統一理論か必要だ。宇宙マイクロ波背景放射の地図から私個人の誕生さえ計算できると言う筆者はラプラスの悪魔信者か?(笑)やはり物理学は滅茶面白い2022/05/18
KAN
17
宇宙の始まりと現在、そして果てしない空間の広がり、それを観測し、数式で記述できるという驚き。アインシュタイン以来、重力までも統合されて記述され、空間と時間の中に存在するものすべてが一点から始まり、そしてどこに向かうのか、人間の叡智はその留まるところを知らない。無限なるもの、永遠なるものに対するあこがれ、探求心は、人間の存在というものも自分の体で完結しているものではないと感じる。重力、ダークマター、宇宙定数についてはとても面白く読めた。2022/12/29
ろべると
13
大変わかりやすく書かれている。数式はほとんど出てこなくて、宇宙の森羅万象をつかさどる法則は、美しい数式で表されるという主張を解説している。「美しい」がポイントであり、取ってつけたようなゴチャゴチャした式ではなく、簡潔で宇宙の真理を象徴するような式でなくてはならない。なぜそのような式で表せるのかは分からないし、そもそも普遍的な法則がどのようにして定められたかなど、誰にも分かるわけがないのだ。ただ後半はブラックホールや重力波などのトピックが紹介されるのだが、もう少し美しい数式の例を示して欲しかった。2022/03/15