朝日新書
奨学金が日本を滅ぼす

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  • サイズ 新書判/ページ数 261p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784022737045
  • NDC分類 373.4
  • Cコード C0295

出版社内容情報

【文学/日本文学評論随筆その他】いまや大学生の半数以上が奨学金を借りている。多い人は700万円もの借金を抱え、卒業後に返済で困窮する。授業料が高く親世代の収入が減ったため、子世代は奨学金とバイトが頼みの綱。「ブラックバイト」と命名した著者が奨学金問題の本質と解決策に初めて迫る。

大内裕和[オオウチヒロカズ]

内容説明

学びたい若者を助けるはずの奨学金の中身は有利子貸与が多く、実態は教育ローンそのものだ。そんな名ばかり奨学金の返済が、卒業後に否応なしにのしかかる。結婚できない、子どもを育てる余裕がない―こんな若者の姿にこの国のかたちが集約されている。次世代を苦しめて未来が開けるのだろうか?ブラックバイトに光を当てた著者が、解決策を含め奨学金問題を正面から取り上げる。

目次

第1章 この30年で大きく変わった大学生活
第2章 なぜ奨学金を借りなければならないか
第3章 奨学金を返せないとブラックリストに
第4章 奨学金返済で「結婚」「出産」「子育て」できない
第5章 学費と奨学金制度の過去から現在
第6章 奨学金をめぐる改善の動き
第7章 奨学金制度―当面の改善策
第8章 奨学金制度の抜本的改革が必要

著者等紹介

大内裕和[オオウチヒロカズ]
1967年神奈川県生まれ。東京大学大学院教育学研究科博士課程をへて、現在は中京大学国際教養学部教授。専門は教育学・教育社会学。「奨学金問題対策全国会議」共同代表。2013年に「学生であることを尊重しないアルバイト」のことを「ブラックバイト」と名づけて、社会問題として提起する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

きいち

44
給付型奨学金の創設、高等教育の無償化が議題に上っている。著者たちのはじめた活動が実を結び始めている。◇『教育劣位社会』で示されたように、教育費への関心は当事者のみに集中しがちで、かつ、奨学金なしで通わせることができる親にとっても、過去に卒業した者にとっても、奨学金の拡充は競争相手を増やす「逆選択」となる。この状況をいかに越えるか。この本のタイトルが「日本を滅ぼす」である理由がここにある。人口減少社会で自分たちの豊かさを維持するには、高い付加価値を生み将来の経済を支える若者が必要だ、と。橋は架かりはじめる。2017/04/11

skunk_c

25
本書が言うように、本来高等教育は社会的投資であり、将来の社会の経済的安定(敢えて発展とは言わない)に寄与するものであるから、この部分をケチってきた、つまり大学等の学費を上げ続けてきた政策のツケが今来ていると言える。子は親を選べないのだから、親の経済力のために借りた奨学金を子が「自己責任」で返済するというのはスジが違うと思う。大学学費の低額化と給付型奨学金の拡充はすぐにでも行うべき政策で、これが少子高齢化への歯止めにもなると思うのだが。奨学金の返済負担が多くの若者の生活を圧迫している現実を知るべき。2017/03/18

マッキー

19
この問題は、子供の学費を払えるほど稼ぐことのできない親にあるのに、自己責任論で片づけてしまうのは無理があるなと思った。手取り18万あるかないかぐらいの中から家賃や生活費を引いて奨学金を返すと老後の貯金も結婚費用の貯金もできないと思うし子育てにも影響するので、まずは企業側が数年働いたらポンと300万円ぐらい返せるぐらいの待遇を与えるか政府の給付奨学金をもっともっと拡充すべし。2017/08/09

シン

17
奨学金関連2冊目。 内容に関しては昨日読んだ「奨学金地獄」とほぼ同じ。 こちらの方がマイルドかつ図表が多い印象。 構造的な問題は確かにあるが、氷河期世代の中でも底の世代かつ有利子の奨学金を未だに返済中の身からすると、甘えずちゃんと考えろと思う部分もなきにしもあらず。 家賃・光熱費・食費・返済、これら全てを6万円以内で抑えてた極貧経験者からするとね。 「奨学金制度の不備によって被害を受けるのは、学生たちだけではありません。  この社会全体が大きなマイナスの影響を受けることになります」2017/03/16

しゃんしゃん

13
う〜ん、と何度か唸ってしまった。自分たちの時代と社会的背景が大きく変化。高度経済成長期の年功序列という社会制度。大学を出れば、正社員になれば何とかなるという幻想は今、捨てなければならない。卒業後の返済金は数百万。気づいた学生たちは借金を少しでも軽減するためブラックバイトに励まねばならなくなる現実。結婚も子供を産むことも躊躇せざるを得ない現実。学生の5割を超える奨学金利用者。身近な先生たちも含め現実を知らない大人が多すぎる。徐々に改革は行われているもののまだまだ不足。未来を担う学生たちを支援する必要を痛感2017/05/20

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