内容説明
30年前、「30年後には石油資源は枯渇する」という話があった。だが、いまも石油が枯渇しないのは、なぜなんだ。こんな、一般のひとたちが抱く素朴な疑問に、石油学会の専門家たちが、懇切丁寧に答える。原油価格高騰のカラクリからバイオ燃料の将来まで、驚きの内幕。環境との意外や意外な関係、原油の原価は「たった数円」、近未来のクルマはどうやって走る?中東産油国の反乱など、3時間でわかる最新の石油事情。
目次
第1章 石油をめぐる世界の動き(石油と環境の意外な関係;石油は環境に良い?;地球環境問題は、そう単純ではない ほか)
第2章 石油を上手に大切に使う(これからの自動車は何で走る?;自動車燃料にはエネルギー密度が必要;まず燃費の改善 ほか)
第3章 石油文明は終わらない(古くて新しい石油とのかかわり;人類の歴史のほとんどは真っ暗闇?;チャーチルの英断―海軍の燃料を石炭から石油へ ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
akira
22
新書。 石油の枯渇は小学校の頃から聞かされていたが、20年経った今ではどうなっているのか。様々な観点から石油を掘り下げる一冊。 考えてみれば、石油には不思議なことがたくさんある。なぜガソリン価格は変動するのか。石炭と比べた時のメリット・デメリット。バイオマス燃料などの代替燃料が、まだ石油には敵わない理由。 石油の加工は化学的・物理学的な知識が要る。そして、その需要と供給の間には経済学的な側面もある。石油を知ることで、いろいろな勉強になる点は、非常に興味深い。 「金融商品としての石油」2015/02/03
ちくわん
20
2008年4月の本。最新ではないが石油事情を石油学会の専門家が真剣に語る。化学あり、経済あり、歴史あり。まさに石油のオンパレード。枯渇という意味ない危機感に煽られることなく、省エネ、新技術、新資源に移行すべき。経済的な独占や政治的な争いを捨て、人類はこの小さな地球で生き続けられるか。石油を通して、そんなことを考えさせられた。ただし本書は、専門書です。2020/08/22
kubottar
6
資料として2014/07/05
はる坊
5
資源を持つことは、国際的に有利になる。本書では、石油をめぐって過去にどのような変遷があったのかや、今原子力や火力に代わる代替エネルギーの実態はどうなのかや、今の世界のエネルギー事情が説明されている。代替エネルギーは、環境に良いことがまず条件としてあげられているが、そこをクリアしても、コストの面や発電場所の面で、一筋縄ではいかないのが現状である。研究者には大いに期待しているが、何か新しいものが出てくるとすぐ飛びつく日本人特有の性質には注意して、僕たちは自分たちでも情報を集めないといけないだろう。2014/10/12
Humbaba
5
石油の価格はますます高まっている.そのため,脱石油をしようという主張もよく聞かれるようになってきた.しかし,今の社会はなかなかその方向に進もうとはしない.将来的には可能かもしれないが,すぐに使わなくさせることは不可能であろう.2012/12/18