朝日新書<br> 愛国の作法

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朝日新書
愛国の作法

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  • サイズ 新書判/ページ数 205p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784022731012
  • NDC分類 304
  • Cコード C0231

出版社内容情報

国には、愛し方がある。
日本の国民は歴史に、憲法に、どう向き合うべきか。声高な愛国論に抗する新しい国の愛し方とは。

北朝鮮のミサイル実験と中国の軍事的台頭。靖国参拝と歴史認識をめぐり膠着する日中・日韓関係。風雲急を告げる東アジアで、日本の立ち位置が試されている。今後焦点となる改憲、歴史の見直しとどう向き合うか。愛国心を押しつけることで、何が損なわれるのか。本当の愛国とは。思考停止は許されない。いま最も注目の政治学者が、悩める国民に贈る、この国の正しい愛し方。

内容説明

ほんとうに国を愛するとはどういうことか。その先にあるのは希望か絶望か。「改革」で政府によって打ち捨てられた「負け組」の人々ほど、「愛国」に癒やしを求めるのはなぜか。日本と韓国、ふたつの「祖国」のはざまから鋭い問題提起を続けている注目の政治学者が、「愛国心」という怪物と真正面から格闘する。

目次

第1章 なぜいま「愛国」なのか(なぜいま「愛国」なのか;「愛する」とはどんなことか)
第2章 国家とは何か(国家と権力;国家と国民;国家と憲法;国家と国家)
第3章 日本という「国格」(「自然」と「作為」;「国体」の近代;戦後の「この国のかたち」;「不満足の愛国心」)
第4章 愛国の作法(何が問題か;「愛郷」と「愛国」;「国民の〈善性〉」と「愛国」;「愛国」の努力)
むすびにかえて―「愛国」の彼方に

著者等紹介

姜尚中[カンサンジュン]
政治学者。1950年、熊本市生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科博士課程修了。国際基督教大学準教授などを経て、98年から東京大学社会情報研究所(現・大学院情報学環)教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

katoyann

23
過激なナショナリズムが跋扈する現状を政治思想から分析している。国民を「エトノス」という感性的な存在と見做し、政治を審美的な意識に還元し、伝統に解消すること(104頁)。これが1920年から台頭してきた超国家主義である。安倍の『美しい国』も政治を審美の対象に還元し、感性的な存在としての「民族」国家の原理を強調する。その理念を実現するために憲法20条を改正し、「靖国神社国家護持」を盛り込もうとする。信教の自由が侵され、同調主義者に溢れ返る社会に愛国者はいるのか。無謀な戦争に反対するのも愛国の発露である。2021/11/04

まると

23
思想傾向はよく知る方だが、著書を読むのは初めて。第一次安倍政権が発足し、政治・社会の右傾化が叫ばれ出した頃の著作だけに、情緒に導かれた愛国論に強い警鐘を鳴らす内容となっている。郷土愛は祖国愛とは結びつかないとの主張が腑に落ちる。とはいえ一番印象的だったのは、愛国を巡る在日コリアンとしての苦悩を率直に吐露するところ。著者は、アーレントの「一人の人間はある民族(国民)の中でのみ、生きることができる」という言葉がずっと心に突き刺さってきたのだという。論考よりも、いかにしてその悩みを克服してきたかに興味がわいた。2021/09/21

白義

11
ここで言われている「作法」とは、「屈折」や「陰影」を経由した上での「作為」と言えるだろう。アーレントやウェーバーの国家論、暴力論を引きながら、市場化と故郷喪失による分断が排他的愛国の熱狂と国家の肥大化をもたらす逆説を分析し、そうしたなし崩しの融解に抗うための、より真摯な愛国の作法をジグザグながら提示する、これまでの著者の著作の中では異質なリベラル保守系の本で、水準もやたらたくさん出した新書の中では一枚上と言える。自らの民族的出自と思想を最も整合的に打ち出した著作の一つかも2013/08/09

Aya Murakami

10
愛国の前に、そもそも愛とは何ぞ?と思う自分です。 要再読。2017/10/17

いぬかいつまき

5
小泉、安倍政権の誕生と時を同じくして澎湃として巻き起こってきた「愛国」の流れ。平成恐慌の発生といい、戦争という悲劇的結末に突き進んだ昭和前期のそれと同じようなこの国の右傾化に、在日コリアンの著者だからこそ提言した書。 思うに、「愛国」という言葉は決して右翼の専売特許ではない。国家が過ちを犯すならば、その誤謬を正さんとすることが国民の務めであり、愛の形である。国家を盲信し甘やかすことは、却って「非国民」的行動ではないか。「愛国心」の高まりは、理想すら描けないこの国に対する彼らなりの悲鳴なんだろうな。2011/10/11

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