内容説明
死を賭したその妻の依頼を受けて、Dはヴァン・ドーレン公爵の下を訪れた。“北部辺境区”の管理官として勇名を馳せ、“虎”と呼ばれた貴族も年老い、その城下には、かつて公爵が封印した究極の兵器を求めて反乱軍、野盗の群れが押し寄せている。彼らを公爵が自分の手で討ち果たした後に抹殺してほしいと、妻は願ったのだった。それを知りながら、孤独な“虎王”は静かにDを迎えた。圧倒的な人気を誇る“吸血鬼ハンター”シリーズ、書き下ろし最新刊。
著者等紹介
菊地秀行[キクチヒデユキ]
1949年、千葉県に生まれる。青山学院大学卒業。1982年「魔界都市“新宿”」でデビュー。日本推理作家協会会員。SF・ホラー映画愛好家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
お腹ボン!
14
前作の登場者グレイランサーの名が今回も時々出てきたので外伝を読んだタイミングが絶妙だったなと実感。今回主人公の公爵もグレイランサーと同じ様に領地の人間を守ってるのに貴族だからと反発される。かつては虎王と呼ばれた老戦士。って、吸血鬼って初めに血を吸った時の年齢のままで不死の筈?この作品だと純粋な貴族同士の子ってやっぱり赤ちゃん?そもそも貴族同士の子孫繁栄ってあり?でも全体的に神祖が絡んでるみたいだから人工?神祖は今回も実態があるようで無い様な、Dが自分の心臓に杭を刺した謎も放置されたまま疑問だらけ~。2018/07/27
柊龍司@中四国読メの会&読メ旅&読食コミュ参加中
12
貴族を倒すヴァンパイアハンターとしての物語という点では、正当な物語に戻った感じ。でも、そろそろ、あのお方との対面と勝負と完結に向けて動く気は無いんだろうか。無いんだろうなぁ2011/09/17
Hugo Grove
11
Dの23番目の話はかなり面白かった。D自身も一歩抜き出たような。また命とはいつか尽きてしまうからこそ尊いのか?1億年経とうが不死が生物に訪れることはないとは思うが、人の生きる期間は確実に長くなっている。人はそれを本当に幸福として受け入れていくのか?そのへんもぼんやりと考えてみたりした一作でした。Dかっこいいなあ。2014/06/26
作楽
9
神祖って一体・・・、なにあの兵器? 虎王の貴族、なかなか楽しめました。でも、ラスト切ないですね。孤独って・・・。セイレーンの気持ちが少しわかったかも。で、Dが普通に話してるのが不思議な感じ(笑)アンドロイドに人間の心を入れるのも、面白いですね。Dと一緒に行動とか、凄すぎるな。2015/03/24
眠る山猫屋
5
虎王───孤王か。久々に初期の“D”シリーズの寂寥感が蘇ったかのようで、雰囲気に酔えた。冬の気配はほぼ無いけどね(苦笑)反乱軍のギルシャークも野盗のバイロンもヴァレリーも、良いキャラだったのに惜しげもなく一冊でサヨナラかぁ…ある意味贅沢なんだよな。2012/01/13