朝日文庫<br> 犬身〈下〉

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朝日文庫
犬身〈下〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 294p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784022645654
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

梓の飼い犬・フサとなった房恵だが、彼女の実家は決定的に崩壊していた。性的虐待を続ける兄、息子ばかり偏愛する母親。一方、まるで梓が書いているかのような、兄との性的関係を告白するブログが公開され…さまよえる犬の魂は何処に行くのか。

著者等紹介

松浦理英子[マツウラリエコ]
愛媛県生まれ。青山学院大学文学部卒。1978年「葬儀の日」で文學界新人賞、94年『親指Pの修業時代』で女流文学賞、2008年『犬身』で読売文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

159
物語の結末は予想とは違っていたけれど、これもまたありうべき結末だろう。蓮實重彦が解説で、自転車の場面をとって細部に宿る小説空間の質を語っているが、それは犬となったフサの描写においても見事に当てはまる。個々の場面の描写とフサの感情の微細さこそが、ある意味ではこの小説の基軸をなしているのだから。また、朱尾を配したことは、この流麗な時間を持つ物語に立体構造を与えることに寄与している。これは、せつなく心が揺れる物語だ。犬好きの人には無条件でお勧めしたい。読後は犬が飼い主に寄せる限りない愛情を再認識することだろう。2014/06/02

文庫フリーク@灯れ松明の火

54
表紙の可愛らしさとは真逆の飼い主・梓と家族のゆがみっぷり。『犬身』と化した主人公は共感まで行かぬものの、真っ直ぐなのですが。文章・描写は分かりやすいのに、物語に入り込んだと思うと、するりと逃げるように嫌悪感。面白いのですが、あまり味わったことの無いたぐいの物語でした。ええ〜?な梓の母親の死に方も効果なのかな。結末は額面通りに、救いが有りとして読了。好き嫌いを聞かれたら素直に〔苦手〕です。それでも後を引く〔狼〕朱尾と〔犬身〕房恵。続編有るなら読みたいです。2011/01/18

myunclek

24
文章になれたのか上巻ほどには時間はかからなかったものの…、う~ん。 面白かったかと問われると微妙ですね。やっぱ梓と彬の不快な関係、そして母親の変質的な性格が、読み進めるほどに気持ち悪くなった。どうにも、感情移入以前の問題でこのお話は好きになれなかった(><)2014/08/08

りつこ

21
酷い話なんだけどストーリーに埋没しない何かがあってそこがキラリと光っているので不愉快な話なんだけど不愉快だけに終わらない。解説を読んでも結局何が言いたいのか私には分からなかったんだけど、でも面白かった。気持ち悪いんだけど乾いたユーモアがあってそこが好きかな。「肉い」っていうのがなんだかめちゃくちゃツボで笑うところじゃないのに大笑い。はかりしれないなー。でも好きだなー。2014/05/30

井戸端アンジェリか

16
気持ち悪さを通り越して滑稽だった。犬になる必要があったのか、人間として傍らに居たほうが支えてあげられたかもしれないじゃない。犬になったせいでドロドロ増しになった感じ。なーんてね、そんな健全な話だったら誰も買わないわい。胸糞の悪い部分は皆様も同感だろうと思うので、私はそれ以外の、フサの可愛らしさと梓の優しい眼と手を称賛したいと思います。読みながら、自分は梓のような眼差しで犬を見れているのか、もしかして犬はフサのように考えているのか、自称愛犬家(解説人曰く醜い犬好きども)としましては色々とお勉強になりました。2016/01/04

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