内容説明
東京都荒川区の超高層マンションで起きた凄惨な殺人事件。殺されたのは「誰」で「誰」が殺人者だったのか。そもそも事件はなぜ起こったのか。事件の前には何があり、後には何が残ったのか。ノンフィクションの手法を使って心の闇を抉る宮部みゆきの最高傑作がついに文庫化。
著者等紹介
宮部みゆき[ミヤベミユキ]
1960年東京生まれ。87年「我らが隣人の犯罪」でオール読物推理小説新人賞受賞。89年『魔術はささやく』で日本推理サスペンス大賞受賞。92年『龍は眠る』で日本推理作家協会賞受賞。同年『本所深川ふしぎ草紙』で吉川英治文学新人賞受賞。93年『火車』で山本周五郎賞受賞。97年『蒲生邸事件』で日本SF大賞受賞。99年本書で直木三十五賞受賞
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kaizen@名古屋de朝活読書会
195
朝日文庫で読み始めた。解説 重松清。分量が多いので読み終わらない間に新潮文庫版を読み続けた。解説 池上冬樹。「火車」が好きな人は、「理由」も好きかも知れない。淡々とした語り口が続く。直木賞受賞作。登場人物:田中翔子(城東二中)。片倉信子(城東二中)。片倉義文。石田直純(買受人)。小糸静子、小糸信治(静子の妻)、小糸孝弘(静子の子)。小糸貴子(信治の姉)早川(占有屋)石田由香利(直純の娘)石田直巳(直純の長男)石田幸子(直純の妻旧姓田中)戸田(弁護士)宝井綾子、宝井康隆(綾子弟)八代祐司、宝井睦夫(綾子父)2013/06/10
ふじさん
100
荒川区の超高層マンションで起こった凄惨な一家四人殺人事件。殺されたのが誰で、誰が殺人者なのか。なぜ殺人事件が起きたのか。事件の前後に何があり、事件後には何か残ったのか。いくつも錯綜する謎を解き明かす物語であると同時に事件に如何に多くの人々が関わっているかを明らかにする物語でもある。一人一人の人物像がくっきりと、奥行きや陰影をきわめて丁寧に巧みに描き出されていて最後まで読者を引き付けて離さない。長くて読むのは辛いが、読んでいて次の展開が気になり一気に読み切った。構成の巧みさには、いつもながら感心させられる。2023/08/31
chimako
94
解説で重松清氏も書いているが“磁石が砂鉄を集めるように「事件」は多くの人びとを吸い寄せる”のだ。ルポルタージュのように多くの関係者(直接的にも間接的にも)の今と過去を書き出しながら事件の全容と核心に迫る作者の試みにどっぷりと浸かって最後はページを捲る手が止まらなかった。読みながら腹の立つこともあり、恐ろしくなることもあった。わがままで自分本位な大人と育ち方だけが心を壊した原因ではなかろう青年。家族の在り方。近隣とのコミュニケーションの難しさ。正に今私たちが置かれている場所がここにあった。2014/12/11
HIRO1970
81
☆☆☆ まあまあかな。ちと古さを感じる。2012/09/01
kaoru
76
これは面白い。殺人事件のルポルタージュの体裁で、幾人もの関係者の話をつなぎ合わせることで、ちょっとずつだけど確実に事件の真相と物語のテーマが明らかになる手法が秀逸。満場一致で直木賞受賞もうなずけます。2016/08/29