内容説明
少女たちが闇の中へと消えていくその訳は?終わりのない新婚旅行って?不倫・猫・肥料、その関係は?人の死は引っ越しと同じ?スティーヴン・ミルハウザー、レベッカ・ブラウン、ジョン・クロウリー、ウィル・セルフなどなど、現代英米小説を精力的に紹介しつづける編者が厳選した魅惑の短篇集。
著者等紹介
柴田元幸[シバタモトユキ]
1954年東京都生まれ。東京大学文学部助教授。92年、『生半可な学者』で講談社エッセイ賞受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
212
今を時めく英米文学者にして翻訳家の柴田元幸氏が厳選した、現代英米文学の短篇小説14篇。意識的にだろうが、さまざまな出自を持つ作家や、また作風の上からもヴァラエティに富んだものが訳出されている。篇中で、思想的、あるいは文化的に現代を尖鋭に感じさせるのは表題作の「夜の姉妹団」。また、その反対に瞬く間に時代が変化したことをうかがわせる「僕たちはしなかった」。はたまた、ジョークそのものを小説に仕立ててしまう作品があったり。ここに収録された作品群によって、私たちは現代英米文学の関心や動向の一端がわかるのである。2015/03/20
キジネコ
42
思春期の女の子達が結んだ沈黙の誓い。そして夜の森の奥深く、何がそこで行われたのか・・ 芥川の「藪の中」を思い出します。さらに言えば「藪~」より深く人間の内部に分け入り、洞察し、顕になった業を読者に手渡す。まるで剥き出しの心臓の鼓動と温もりを掌の中に感じる様。ヴェネツィア さんの評に触れてピンとくるものがあり、漸く手にし読了致しました。印象に残る作品が多く、物語を通じて作家と語り合うような読書経験ができる贅沢に、幸福を感じています。表紙の女の子達の求めに従い、これ以上は語らぬ様に致しましょう。是非ご一読を。2015/04/04
mt
33
柴田元幸氏の子供のようにはしゃいだ後書きに触れると、訳者が楽しんで選りすぐった短編集であることがよくわかる。一方、私といえば、長編を気に入って短編に進むことを常としているので、見知らぬ作家の14作の短編には入り込めなかったし、集中力も欠いた。それでも、レベッカ・ゴールドスタインやスチュアート・ダイベックは面白く読んだが、乏しい想像力を掻き立ててくれた作品は3編ほどで、感想を書くに至らず残念。2016/08/23
KI
16
行為自体が答えであったとしても、大人は納得のいく答えを求めたがる。2019/05/07
mi
13
スティーヴン・ミルハウザーは期待通りのスティーヴン・ミルハウザーだし、スチュアート・ダイベックもいたが・・・。1番はレベッカ・ゴールドスタイン「シャボン玉の幾何学と叶わぬ恋」。少ない頁のなかに母娘3代の物語を入れて粗筋に終わらず、鮮やかな情景がきらきらして、落ちも落ち着いて、更にそれぞれの女性の個性も際立ち、その夫もしくは片思いの相手もすてきに引かれる。全部の人物と友だちになりたい。全部の人物をやってみたい。完璧だ。この1篇のために私は一生この本を手放さないのだ。2016/06/02