朝日文庫
天国までの百マイル

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  • サイズ 文庫判/ページ数 293p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784022642486
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

バブル崩壊で会社も金も失い、妻子とも別れたろくでなしの中年男城所安男。心臓病を患う母の命を救うため、天才的な心臓外科医がいるというサン・マルコ病院めざし、奇跡を信じて百マイルをひたすらに駆ける―親子の切ない情愛、男女の哀しい恋模様を描く、感動の物語。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

鉄之助

368
神のような心臓外科医が語った心臓のすごさに、圧倒される。握り拳ていどの大きさしかないのに、1日に7.5トンもの血液を送り出し、体を一周させる時間は、たったの20秒! 「平成の泣かせ屋」浅田次郎の凄みは、こんなデータをきめ細かく拾ったうえで、気の利いたリアルな会話が随所にちりばめられているところだ。2024/01/28

ろくせい@やまもとかねよし

317
子を想う母の力強い寛大さを描く。「幸福はお金で買える」と建前を越すあっけらかんとした本音。徹底した子供を慮る自己犠牲。そんな中でも抑えられない母の利己的な恋愛。そんな自己中心的な意識に嫌悪感を全く抱かせることなく、理不尽さもありながら確実に子どもを包み込む母の利他性が見事に描かれていた。きっと、この感覚は浅田さんしか醸せない表現。そんな物語を展開させる主人公は「安男」。「高男」「秀男」「優子」に続く名付けで、元妻も「英子」と、なかなかの不条理設定も面白い。終盤、「英子」も抱く義母への尊敬には胸を打った。2020/12/27

ミカママ

211
泣けた、泣けた、泣けました。母の息子を思う、息子が母を思う気持ち、そして安男の愛人のマリが安男を思う気持ち。母の主治医の藤本医師、曽我医師、百マイル途中で出会った人々、安男の元妻...。あったかい人たちばかり。何から何までハッピーエンドで、さすがにこううまくいくわけはないんじゃ?とも思うけど、この読者の心臓をグラグラ揺らしちゃうところが、浅田さんの魅力ですよね。マリの告白、コピペして私の人生の教訓にします。この物語の主人公はマリかも。2014/07/19

やせあずき

187
富も名声も家族も手にしていたときには気づかなかった「大切なこと」に、すべて失って初めて気づくという、人間の愚かさ、素晴らしさを描いた感動作です。そして、親子、男女のあいだの愛情というのは、極限の状態になって初めて真の姿を現わすものであると同時に、真価が問われるものではないかということを考えさせられました。2015/10/12

とん大西

142
号泣でした。親目線、子の目線、年相応の男目線…。何となく億劫でずっと積読状態でしたが、こんなに懐の深い話だったとは思いもよらず…。仕事、家庭、金、信用-全てを喪った40男の人生再生物語。余命僅かな老母を連れて向かうは房総半島の海沿いに佇む医療機関。東京からの距離ざっと100マイル。オンボロ車で行く老いた親と中年男の命のドライブ。微笑ましくも切なさが募る道中。厳しく諭すのも優しく頷くのも全ては愛情。親はいつまでも親であろうとする。色んな思いが頭を過り…泣。とくにマリには…嗚呼。響き、しみわたる名作でした。2019/05/05

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