朝日文芸文庫<br> やちまた〈上〉

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朝日文芸文庫
やちまた〈上〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 469p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784022640659
  • NDC分類 289
  • Cコード C0195

内容説明

その盲目の語学者がわたしに巣くってしまったのは、丘の松林のなかの、古風な教室においてであった―ことばの法則をあぶりだそうと孤独な努力を傾けた本居宣長の長男・春庭に魅入られた著者が、自らの後半生を費やしてその生涯を紡ぎだした類まれな評伝の名作。芸術選奨文部大臣賞受賞。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Susumu Kobayashi

1
戦前の官立専門学校である神宮皇学館に在学した作者は白江教授の『文法学概論』を聴講し、本居宣長の長男で、若くして失明したが、国文法の基礎を確立した著書『詞の八衢(やちまた)』および『詞の通路(かよいじ)』を上梓した本居春庭に興味を惹かれる。作者は自分で文献を蒐集したり、図書館(文庫)の文献を読んだりしながら、いかにして春庭が画期的な著作を完成したのか調べていく。謎解きの要素を秘めていて、わくわくさせる部分もある。春庭が生きていた当時と、作者の生きている現実の時間が並行して描かれている。2013/03/24

きくまる

1
本居宣長の息子、『詞の八衢(はちまた)』を著した本居春庭に興味を抱き、またその成り立ちの通説に疑問を抱き、ひたすら春庭の人生を追い、関係した人物について調べ想いを巡らせた大学生。と、書けば簡単だが、その追い方のすさまじさとそれぞれの著書(当然古典だけど)を読みながらひたすらその人物を思い描く様になぜか一緒にはまっていく。江戸の学者達も、関わってくる友人も恩師も書店のオヤジも一癖ありながら魅力的。ただ、こちらに知識が足りない分、なかなか進まず往生しました。戦争激化の予感で終わった。下巻にさらに期待!2012/05/07

thinkeroid

1
当時の状況を知る世代の退場と共にもはや読まれなくなったようだが、掛け値無しの名著。国学と国語学の発展を追った展開を見つつ、個人的にはヨーロッパ文明が世界を席巻したのは、文化の継承ということにあったのかもな、と思う。中国は更新だったし、日本は遅すぎたかも。2009/10/06

カツェ

0
作者の学生生活とオーバーラップしてたはずが、いつの間にか江戸時代へ行ったきりに。真面目で真剣。2013/12/17

katashin86

0
本居宣長の長男にして盲目の語学者・春庭の伝記であるとともに、その生涯と事績を追いかけてゆく著者の人生を追いかけていく自伝でもある。上巻は神都伊勢・国学最後のよすがたる神宮皇学館の日々を描く。 春庭とその周りの人々、さらには近世国学の有為転変と、激動の昭和の流れにもまれる著者の周りの人々の生涯が折り重なって、そこに喜び、哀しみ、愛おしさが伝わってくる。2021/09/07

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