朝日文庫
秋葉原事件―加藤智大の軌跡

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  • サイズ 文庫判/ページ数 278p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784022617668
  • NDC分類 368.6
  • Cコード C0195

出版社内容情報

【文学/その他】死者7人、負傷者10人を出した無差別殺傷事件から丸5年――なぜあのような事件が起きなければならなかったのか? 友達がいるのに、なぜ孤独だったのか? 加害者・加藤智大の人生と足跡を丁寧に辿ることで、現代社会の問題をあぶり出すノンフィクション!

内容説明

2008年6月、秋葉原で死傷者17名を出す無差別殺傷事件が発生。「派遣切り」「ネット掲示板」という事件にまつわる言葉と、加害者・加藤智大に対する高い共感が衝撃を与えた。彼の人生を追うことで、日本人が対峙すべき現代社会の病巣を暴くノンフィクション。

目次

第1章 家族(青森;家庭環境 ほか)
第2章 自殺未遂(中日本自動車短期大学への進学;仙台へ ほか)
第3章 掲示板と旅(「不特定多数」と「特定少数」;ネタとキャラ ほか)
第4章 「イライラします」(静岡県裾野市;「そろそろ3Dに行かないとヤバイ」 ほか)
第5章 歩行者天国へ(「そろそろ限界」;「ツナギがない!」 ほか)

著者等紹介

中島岳志[ナカジマタケシ]
1975年大阪府生まれ。北海道大学大学院法学研究科准教授。大阪外国語大学卒業、京都大学大学院修了。2005年、インド独立運動の闘士を描く『中村屋のボース インド独立運動と近代日本のアジア主義』で大佛次郎論壇賞、2006年『ナショナリズムと宗教 現代インドのヒンドゥー・ナショナリズム運動』で日本南アジア学会賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

90
当時の報道から、教育熱心な母からの過剰な期待、虐待からの反動でやる気をなくし、キレやすく、派遣の仕事にしかつけず、友人もなく、ネットに入り込んだ青年をイメージしていたが違った。彼は、四大こそいっていないが、優秀ですぐに準社員や社員扱いとなり、派遣切りの対象にもなっていない。友人も少ないがいた。ただ、不満があるとそこを離れるだけなど、それを伝える手段が消極的過ぎて周囲には伝わっていない。ネットだけが原因というわけでもないように思う。生い立ちだけでは説明できない要因は何だったのだろう。2014/09/06

Willie the Wildcat

67
狂気の言動の経緯を紐解いて見える要因のヒント。藤川氏の本音に触れた時の心情、警官・駐車場管理人の優しさに触れた時の心情、そして、遠路はるばる福井に向かわせた心情。陰の時間の長さが心の闇を深くし、差した光も瞬時に消える。愛情と信頼の齎す心の安らぎ。言うは易く行うは難し・・・。個別事例ではなく、社会問題として制度などのハード面のみならず、価値観などのソフト面の見直しも急務という感。罪への処罰は必要なれど、真の原因の解明・対応を怠れば、第二・第三の狂気発生は当然の帰結となる。2017/11/10

おさむ

52
世間を震撼させた2008年の通り魔事件の犯人、加藤の25年間の人生に迫ったノンフィクション。半ば小説のような心理描写や展開に驚きます。現実社会は建前で、ネット社会こそが本音の自分をさらけ出せる「真の世界」。そんな心理構造が現代の若者の共感を得た理由なのかもしれない。「一種の文学」にも読めますが、うーん、正直わたしはそこまで共感はできません。2017/01/19

さよちゃん

43
意外なことに、彼には多くの友人がいた。転職を繰り返していても、どの職場でも真面目で丁寧な仕事を評価され、同僚ともうまく付き合っていた。報道されていたように母親の虐待のような躾はあったようだけれど、母親とは事件の前に和解している。あれほどの事件を起こした動機が見えてこない。リアルに親しい人達を持ちながら、ネットの世界に理解者を求め、注目されたくて過激な言葉を書き込み、それを真実にしてしまった彼の心の内は一冊の本でわかりようがないけれど、事件の概要はよくわかった。改めて被害者のご冥福を祈ります。2015/04/06

ころりんぱ

43
あの突然の「無差別殺傷事件」がどうして起きてしまったのかが、理解できてしまった。本音や言葉を母親に奪われ作られてしまった、いい子の不幸。良好な友人関係も、真の繋がりもあったはずなのに、リアルの方を代えの効く世界、ネットでのアイデンティティこそ守りたかった自分という風に捉えてしまった不幸。著者が語るように、誰も他人事とは言えない社会になっていると思った。納得。犯人は、自分の事しか考えられなかったんだ。彼が殺傷した「誰でもよかった」被害者は皆かけがえのない命だってことに考えが及ばなかったのが一番の不幸。2013/11/22

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