内容説明
資生堂で長年研究生活を送った調香師による、「香りの世界」への道案内。植物、香水、ハーブ、スパイスなどの数千年の歴史と、歴史的人物と香りの関わり、文学や美術で表される香りを紹介。現代科学でも解き明かせない体と心への不思議なはたらきも語る。香りのことはこれですべてわかる一冊。
目次
第1章 自然の香りあれこれ
第2章 天然香料を求めて
第3章 香を焚く
第4章 香りで癒す
第5章 香りを創造する
第6章 嗅覚の不思議
第7章 からだのにおい
第8章 香りの文化と歴史
第9章 香りの言葉
著者等紹介
中村祥二[ナカムラショウジ]
1935年東京生まれ。1958年東京大学農学部農芸化学科卒業後、資生堂に入社。以来40年にわたり、香水、化粧品の香料の創作および、花香に関する研究、香りの生理心理効果の研究を行う。資生堂リサーチセンター香料研究部部長、チーフ・パーフューマーを経て、1995年から1999年まで常勤顧問。1998年より、国際香りと文化の会の会長として香り文化の普及活動につとめる。「世界らん展」日本大賞、「国営越後丘陵公園国際香りバラコンクール」で香りの審査を行っている。フランス調香師協会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mayu
52
香りについて知りたいと思って手に取った本。天然香料の一つバラを求めて凄い量のバラと人件費が必要なのか、天然香料を使った香水が高いのがわかる。またからだの匂いのことや加齢臭について書かれていて心とからだが密接に関わってることを知り興味深く読むことができた。2020/06/09
ホッパー
48
香りについて、様々な観点で語られる。知れば知るほど面白い香りの世界。2021/04/17
そふぃあ
25
各香料の特徴や歴史、文化(美術,文学)、化学的説明も網羅されて且つ文庫というとても良い本だった。 アンバー(竜涎香)の説明が面白かった。 「マッコウクジラの腸内、または内臓に発生した病的な生成物である」 …高確率で中からイカの嘴が見つかるらしい。 ジャスミンの香りはスカトール、インドールが主成分で、これが濃くなると糞便の臭いになるのは有名な話。2004年のノーベル医学・生理学賞で初めてその原理が発見された。その理由というのは人の鼻のセンサーは347種あるが、それぞれ閾値が異なるため。2019/03/15
小木ハム
22
著者は資生堂で40年にもわたって香料の創作、心理効果を研究していたスゴイ人。こうした仕事を調香師(パーフューマー)と呼ぶらしい。香り療法はメンタルケアにも利用されており、抗うつ剤との併用で高い効果を上げた例もあるようだ。個人的にウッディ・ノートが「香りの主役にはなれないけど、主役を引き立たせる骨格、香りを支える本体に位置する素材』と紹介されており、香りの世界の2番なんだなっ!と好きになった。読んでる途中でどうしてもナツメグの香りを嗅いでみたくなり、ポチってしまう程度には影響を受ける読書体験となりました。2023/11/19
サルビア
22
BALビル内のtoday's specialで購入した本です。1989年から20年経って加筆され、出版されました。著者は資生堂に調香師として勤め、数々の香水を世に送り出してきました。その香水は私の青春と共にありました。メモワール、モア、錦、禅、沙棗(さそう) ばら園、どれも懐かしい香りです。特に沙棗は中国の香妃の体から匂ってきたと思われる香りだそうです。沙棗がいまも販売されているか調べてみたがもう販売されていませんでした。他に強い匂いを出し、天敵が近づいてきたのを知らせる植物の話や文学作品の中の香りについ2020/12/30