内容説明
安政2年、尾張藩士の家に生まれた小川定明。維新後は仕立屋職人、巡査、教員をへて大阪朝日新聞記者となる。特ダネを連発し注目を浴びるが、50代半ばで旅館勤めの後、小樽の孤児院の用務員に。南方熊楠、宮武外骨と並ぶ「3奇才3奇人」とされながら忘れられていた謎の型破り人生に光を当てる。
目次
1 ある点景
2 生い立ち
3 新聞記者スタート
4 華の大阪朝日記者
5 まだまだ新聞記者
6 鉱泉旅館の権助
7 孤児院のおじいちゃん
8 死前死後
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
傘緑
48
「年老いて後幾百万の黄金ありとも物の用には立つまじ…人間の快楽は壮く身体の間にあう時、出来るだけの面白味を為し置くべきものなり。老いては村役場の小使となるも可く、病院の門番となるも可く、のたれ死に死ぬるは尚更に可し」伝えられている若き定明の人生の抱負。坪内祐三や呉智英の書評で知った人物であり本。日清日露と様々な戦争に従軍し、当時は朝日新聞にその人ありと謳われながら、今はその転々とした晩年(旅館の権助や孤児院の用務員)とともに名前の読みが「さだあき」なのか「ていめい」なのかさえ”定かに明らか”でない小川定明2017/05/07