朝日選書
幕末狂乱(オルギー)―コレラがやって来た!

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  • サイズ B6判/ページ数 231p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784022598875
  • NDC分類 210.58
  • Cコード C0321

内容説明

黒船の耳をつんざくような砲声から2年、天地を動転させた大地震と大津波の襲来は、国土を焦土と化した。人々の恐怖をあおり、この世が根底からひっくり返る―、そこに安政5年(1858)、コレラが襲いかかった。罹ったら最後、3日で死ぬといわれるコレラには、旧来の仏教や氏神では太刀打ちできない、より強い霊力のある神仏や流行神にすがるしかない。コレラを操る悪狐の天敵、御神犬やお札を求め、遠く京から神社を勧請して、災厄に立ち向かう。あらゆる手を尽くしても衰えないコレラに追い詰められれば、一転無礼講の祝祭に走る。東海地方の村々に残る名主の記録から、村人がどのようにコレラと闘ったのかを再現してみると、おかしくも、またたくましい幕末庶民の姿が見えてくる。

目次

1 名主の見た幕末の「不安」―伊豆国桑原村名主の「年代記」から(幕末社会へのアプローチ;災厄情報と世直し ほか)
2 コレラの恐怖と妄想―東駿河大宮町(大宮町のコレラ;アメリカ狐からイギリス疫兎へ―死の恐怖と妄想 ほか)
3 京都・吉田神社を勧請する―東駿河下香貫村・深良村(代参による勧請―下香貫村;飛脚便による勧請―深良村 ほか)
4 アメリカ狐と三峯山御犬拝借(御宿村の御神犬拝借;開港下、伊豆下田の狐狩 ほか)
5 江戸のコレラ騒動―禦ぎから祝祭へ(安政五年七月、コレラ江戸を襲う;コレラの大流行 ほか)

著者等紹介

高橋敏[タカハシサトシ]
1940年、静岡県生まれ。東京教育大学大学院修士課程修了。国立歴史民俗博物館名誉教授。文学博士。日本近世・近代史専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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犬養三千代

7
コロナ騒動の幕末バージョン。 各地のコレラの様子は古文書の解読。「安政五年の三峯神社」からあとは面白かった。特に「コレラを洒落のめす」は秀逸。笑わずにはいられない。そのうらの切なさも。2022/05/29

かわかみ

6
幕末にコレラが流行したことは薄っすらとは知っていたけれど、これだけ大事だったとは知らなかった。開国と同時にアメリカ人が病原体を持ち込んだと考えられているが、医学的な知識が乏しい当時の民衆は、それこそ大騒ぎで神仏にすがったりしたことが史料に基づいて説明されている。開国とそれに伴う経済の混乱に、天災と疫病が同時に起こったのだから、庶民はさぞかし苦労したに違いないが、同時にコレラを茶化すようなたくましさも見せたのだった。過去三年間ほどの狂乱と比較したかったのだが、なかなか簡単には片付けられない。2023/09/12

EnJoeToh

2
アメリカ狐。千年モグラ。イギリス疫兎。2010/10/17

武隈

0
幕末期に、黒船と共にやって来た「コレラ」の恐怖。今までに無かった〈異〉はキツネやモグラの化け物と信じられ、遺された記録から、コレラを退治するため三峰山の御神犬を借用したり、新しい神社を勧請したり、霊力に頼る幕末の庶民の姿が見えます。伊豆の名主が、イギリス公使のオールコックが富士登山をしたときに神国を穢すということを書いていて、大きな話題だったことに興味深く感じました。2012/08/13

Meistersinger

0
正体不明の災厄に対し、目に見える分かり易い対象を攻撃して済ませる。古今東西を問わない図式。コレラ流行なのに症状の記録に「下痢」が出てこないのは何故?2009/10/07

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