朝日選書<br> 夜は暗くてはいけないか―暗さの文化論

朝日選書
夜は暗くてはいけないか―暗さの文化論

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  • サイズ B6判/ページ数 235p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784022597007
  • NDC分類 545.04
  • Cコード C0395

内容説明

「明るい」ことはよいことか?より人間らしい思考・生活のできる明るさ、暗さとは?日本と北ヨーロッパの芸術作品や現存する建築物の比較、ビルと照明の歴史などを通して提唱する暗さの再評価論。

目次

1 暗さのもたらすもの(鉛色の空;『陰翳礼讃』再読;暗いことの意味)
2 暗さをたずねて(光の文化;石の家;ロマネスク教会の光と陰)
3 現代に暗さをつくる(照明の変遷;夜は暗くてはいけないか;オフィスビルの採光と照明;不均一照明のすすめ)

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ロア

32
主に建築と照明について西洋と日本の違いが論じられています。明るいのが苦手で普段もギリギリまで電気は灯さず、つけても部分&間接照明、暗ければ暗いほど嬉しい私としては、明る過ぎる日本の照明環境は本当に過酷。イギリス他、ヨーロッパの暗さが心底羨ましいです。1998年刊行の本書には、「蛍光灯の出現で暗さが破壊された」とありますが、それから約20年後の現在、LEDの出現によって壊滅的に破壊されたよね…これまでは自販機の明るさが辛かったけど、今は自転車のLEDライトが最強に辛い。夜こそサングラスが必要です(´ω`;)2016/10/26

ジュースの素

9
暗さの文化論と言う副題が付いているが、逆に明るさのに置き換えてもいい。緯度の高い北ヨーロッパの石造りの建物に暮らす人々は暗さに関する意識が日本人とは基本的に違うと書いている。私は90年代にパリの空港があまりに暗くて驚いた。そして古い絵画も全体が暗いトーンだ。天候も曇りが多く暗い。 それが人間性にも影響を与えているのは間違いない。 熱しやすく冷めやすい日本人の気性も日本の天気や住まいの賜物かな。2016/06/04

みつ

7
絵本「よるのかえりみち」を読み、俄に読み返したくなった本。谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』(これは名著)の印象的な引用から始まり、ヨーロッパの家屋内部は戦前日本よりさらに暗いこと、人間の視覚の特性、オランダ17世紀の室内絵画(ピーター・ドウ・ホッホ作)や教会の暗さ、ヨーロッパとの気候の違い(四季の変化は日本では気温に現れるがアルプス以北のヨーロッパでは昼間の長さに現れること)、照度と輝度、薄明の三段階など、具体的なデータと科学的知見に基づいて、「明晰」な文で語られる。「暗さは人にものを考えさせる」(p54)とも。2021/06/12

いのふみ

4
明るさと暗さ、日本と西洋など、論じる比重がいずれかに偏らずフェアー。しかしそれでも自分は『陰翳礼讃』の世界に惹かれていた。2015/06/21

Uzundk

4
かなり面白かった。著者は建築関係の学者で、光に焦点を置いた空間についての話。現代の日本人の多くが光が空間をどのように演出するのかというのを忘れてしまっている。床に置いた行燈から、白い畳に反射して暗い部屋を照らす複雑で不均一な光と闇を、ガス灯に目を奪われて明治の工業化の時に忘れたようだ。著者の指摘を気にしながら町を歩くと確かに、光の眩しさばかりで闇の存在が殆ど見られない。店の天井はむき出しの蛍光灯で敷き詰められて、手持ちのデバイスの画面も見づらい。光の文化が貧弱だ。光と影の文化を思い出さねばならないと痛感2014/09/24

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