内容説明
巨人は何に敗北したのか。驚異の真空ポンプ、精密な望遠鏡、―実験と実用の17世紀イギリス科学界。寵児フックの名声にニュートン=理論至上主義の影がさす。初の本格評伝。
目次
1 科学者フックの誕生
2 フックの科学的業績
3 二人の巨人
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ねんまに
2
ニュートンの功績すらほとんど理解できてない科学の知識不足の自分では、数々の数式や実験の内容が紹介される本書はなかなか読み進めるのが大変でした。それでも一般人向けに噛み砕いて、かつフックという一人の男の伝記ものとして落とし込んでくれた著者の努力により、なんとなく当時の状況については理解できたと思います。突き詰めるとニュートンとフックのいざこざは、理論科学である理学と、実験科学である工学の思想的、構造的対立であるというのは門外漢なりに面白かったです。2023/05/07
nozma
0
ニュートンがフックの肖像画を始末したからフックの肖像画が残ってない、みたいな説は聞いたことがあったので、そういう話かなと思ってたけど良い意味で裏切られた。ニュートンとフックの対立がどのように生じ、どのように深まっていったのか。当初思っていたよりニュートンに同情を感じた。ニュートンがキレるのも分かる。2015/01/18
ロバのパンや
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大学の解析学の授業で、なぜかこの本の読書感想文が宿題となった。ロバート・フック。物理を志す人で知らない人はいないけど、ニュートンほど有名ではない。まぁ、物理にふれない人にとったら、ニュートンも"りんごが落ちる話"くらいにしか知らないと思うが。強かな学者と同時代に生きたというのが不運だね。
息吹粋人
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Mからの推薦課題図書。フックの法則、として著名だが、ニュートンとの関わりに関しては一切知らなかった。2013/01/31
はるゆう
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実験屋としてフックが描かれている。ボイルの助手として、真空ポンプ作成にかかわっていたことは、今回初めて知った。後半はニュートンとのかかわり。ニュートンとフックとが互いにライバルだった、ということはぼんやり聞いたことがあった。ニュートンによるフックの消去もあったけど、実験よりも理論のほうが価値深いものと見る世間の風潮も、フックの抹殺に関わっている、という指摘が気になった。それを著者の経験に基づいて、現代の理学・工学の対比で語っているところが面白い。今も昔も、理論屋は孤高で頑張る、というイメージなのだろうか。2011/11/20