内容説明
物理学に罪はあるか。「原爆の父」、初の本格的評伝。
目次
1 優等生
2 救いと物理学
3 美しき日々
4 核分裂連鎖反応
5 ロスアラモス
6 トリニティ、広島、長崎
7 プルーデンスに欠けた男
8 核国際管理の夢
9 戦略爆撃反対
10 オッペンハイマー聴聞会
11 物理学者の罪
12 晩年
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
コットン
84
イベント『書評と投票と朗読と』での針さんのおすすめ本です。 オッペンハイマーの幼少期から原爆に関わる時期とその後の生き様を描いた本。罪は罪としてオッペンハイマーの人に平等で風通しの良い研究環境作りに尽力したのは好感が持てた。『救いと物理学』の章などでは学生時代に聞いた有名なボーア、ゾンマーフェルト、パウリの名が出ていたのが懐かしい。2023/10/18
Tetsu Yamakawa
2
科学を扱うときにどうするべきか、この本が考えさせてくれることだろう。ロスアラモスの話を読むとどこか胸が苦しくなる。自分の行動の正当性をどう評価するか、ロスアラモスの話がいつも自分に問いかけてくる。日本人として、そして一人の人として、この本に出会えてよかった。この本の内容が正しいのかは自分には判断できないが、この本の価値はそこにあるのではなく、考えることができることにあるのだと思う。
せちあ
1
オッペンハイマーは素直で他人を信用しすぎる性格ゆえに戦後裏切られてしまったが、そんな性格だからこそ色んな人から愛され尊敬されていたのだと思った。 原爆には明確な悪者はおらず学者の焦りと知への渇望から生まれたことは、被爆国からすれば受け入れ難い話だけれど、それを受け入れることが必要なのかもしれない。2023/07/03
うたまる
1
「なぜなら、私が愚かだったからだ」……『原爆の父』オッペンハイマーの実像に迫る評伝。でありながら、原水爆開発史、あるいはアメリカ政治史でもある。大量殺戮兵器開発者に与えられるノーベル賞、好奇心と功名心のために行われる原水爆開発、嘘をついてでも人を陥れる制度。アメリカという国のあらゆる局面に横溢する科学者・軍人・政治家の野蛮さに純粋な嫌悪感を抱く。著者は安易に断罪せず、民意の支持や大衆の無知を仄めかすが、それもどうかと思う。自らの愚かしさに気付いたオッペンハイマーの言う「良心の痛みの喪失」こそ金言。2014/03/06
もち
0
なんだかなあ、ほんと2012/06/26