内容説明
「日本ファシズム」と建築。あの時代、建築家たちは何をしたのか。時流への迎合、困惑あるいは抵抗…。コンクリート・ビルに和風の瓦屋根をあしらった帝冠様式、忠霊塔、バラック庁舎など、1930年代の建築造形を通して考察する。
目次
1 帝冠様式
2 戦時体制と都市空間
3 忠霊塔
4 大東亜の新様式
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ムカルナス
5
戦前・戦中の日本趣味の建築は軍国主義に迎合した建築家により設計されたという建築界の通説に疑問を抱き反証を試みたのが本書。独では国家宣伝のために統一した街並みが建設されたが日本ではそんな予算はなく建築資材は制限されバラック建築になり、忠魂塔のコンペでは軍部の意向により日本趣味もモダニズムも採用されず大衆が納得しやすい墓標っぽいデザインが採用される。要は建築家の出番はなかった。だが井上説は業界では異端でリビジョニスト扱いされているらしい。本書はまた様式主義からモダニズムへの移行期の建築史として読んでも面白い。2016/04/30
Norihiko Shr
1
http://ameblo.jp/puzz-l-riddle/entry-12207911967.html2016/10/10
残留農薬
0
高1の「修論」以来の再読。帝冠様式ファンもそうでない方も必読。様々な思想や思惑から創られたキッチュすぎる和洋折衷の近代建築について、「軍服を着た建物」という先入観を取り去ってくれます。2013/03/01
tkm66
0
<「帝冠様式建築」への誤解>をかなり丁寧に解きほぐしているのに、未だに『あれこそ戦前ファシズムの象徴』呼ばわりのジジババ結構ご存命。