感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひろゆき
3
副題にあるようなテーマで日記文学を講評するような感じ。上巻は平安時代と鎌倉時代。日本の文学の私的性質を述べた冒頭の序文から引き込まれた。まったく知らない日記にも興味をもった。ところどころ日本人の特質に触れているところが、とても的確。例えば、先人の体験を追体験したがるために、同じところに句碑歌碑が立ち並ぶなど。『更級日記』や『とはずがたり』が特に読みたくなった。2013/04/29
杞人
3
鬼怒鳴戸(キーン・ドナルド)先生日本永住を聞き再読。やはり、序文で述べられた、戦時中米海軍で日本兵の日記翻訳に従事していたときの回想のくだりが忘れられない。「とくに私は、部隊が全滅してただの七人生き残った日本兵が南太平洋のある孤島で正月を過ごしたときの記録を憶えている。新年を祝う食物として彼らが持っていたのは、十三粒の豆がすべてであった。彼らはそれを分け合って食べたのだという」先生もまた震災後の日本と、豆を分かち合うべく帰って来られたのではないかと思う。2011/07/25
Pippi
2
こんなに日本の古典文学、それも日記文学が面白いとは知らなかった。平安時代にして既に「主観性」を獲得した現代性は、同時代の西洋文学にはない新しさに溢れている。2009/02/09
朝吹龍一朗
1
日本文学を日記でたどるなかで、日本文化に秘められた特質を浮かび上がらせる。たとえば西洋文学では父と娘の関係のほうに重点が置かれるのに対し、日本では母と息子の関係の重要性がほとんど圧倒的であるとの指摘。これは日本文学史の素人にとっては目からうろこの落ちる思いだった。そんなの定説だよ、ってことなら管見を恥ず。もうひとつ。「紅旗征戎吾が事にあらず」(藤原定家『明月記』)の解釈。ドナルド・キーンが間違えていたのだから私がミスリードしていたのも大目に見てもらおう。ということで時代が下がってくる下巻が楽しみ。2011/06/05
おめるた
1
日記にみる日本人という副題がついている。日記こそが、如何なる文学形式にもまして、日本文学である。日本を知るために、まずは先人たちの日記を。2010/10/27