内容説明
なぜ子供は学校に行かなくてはいけない?素朴な疑問に、ノーベル賞作家はやさしく、深く、思い出もこめて答える。子供から大人までにおくる16のメッセージ。心の底にとどまる感動のエッセイ。
目次
なぜ子供は学校に行かねばならないのか
どうして生きてきたのですか?
森でアザラシと暮らす子供
どんな人になりたかったか?
「言葉」を書き写す
子供の戦い方
シンガポールのゴムマリ
ある中学校での授業
私の勉強のやり方
人の流れる日
タンクローの頭の爆弾
本を読む木の家
「うわさ」への抵抗力
百年の子供
取り返しのつかないことは(子供には)ない
「ある時間、待ってみてください」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みも
57
ノーベル文学賞受賞者という箔が付き、事実、難解な文章は安直な読者を寄せ付けない。そんな作家がここまで目線を落としてくれるのは本当に有難い。小学生向けに綴られた本書は押し付ける事無く易しい言葉で語り掛ける。戦争を原体験とした人生指南。ユダヤ人差別に関しての私見。絶対的な父への反発や寛容な母の影響…そして、息子・光くんと奥様との生活。著者自身を形成する血肉や、常に社会と対峙し真摯に生きている姿を開示する。文庫版にあるのかどうか分からないが、本書には奥様の挿絵が優しいタッチと色彩で彩りを添え、文章を引き立てる。2018/07/23
Aya Murakami
34
病院帰りの古本屋で10冊まとめて500円コーナーの本を適当に選んだうちの1冊。 作者は戦中戦後を教育期間として過ごしたようなので時代の変化によって大人の意見が変わることに不審を覚えたようです。不審を覚えたなりに勉強する姿勢をすてずに独学を行った姿勢は素晴らしいと思いました。並みの人間ならひねくれます。こういう姿勢がノーベル賞につながったのですね。2018/06/16
のし
20
優しい本です。大人も、子どもも読める本。色々考えさせられる内容が沢山ありました。2014/12/21
サラダボウル
17
こども達へ向けた本。平易なようで、時々わかるようなわからないような。それでいいのかな。ご自身のこども時代の思い出も多い。お祖母様のオドシ文句が「チョーソカベがくる」。土地に途切れずに残っているもの。お父様の思い出も。戦争中、日本のアジア支配によりゴム資源が豊富になり、こども達へゴムまりの配給(抽選)があったこと。それに対する父子のやりとり。また、"こどもに取り返しのつかないことはない" 殺人と自殺を除いて。耐えられない時は、ある時間待ってみること。その訓練もしておくこと。言葉に命がある。 2023/03/25
bookreviews
14
子どもの高校入学祝いに頂いた本です。子どもが読み終わった後に借りて読みました。読書の大切さ、外国語の学ぶ意義、うわさへの抵抗力、平和とは何かなど、多岐にわたる内容で、今後の子どもの勉強の参考になればいいと思える、よい本でした。 https://bookreviews.hatenadiary.com/2022/04/30