彼女(たち)について私の知っている二、三の事柄

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  • サイズ B6判/ページ数 258p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784022574848
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

目白のアパート「紅梅荘」ふたたび!桃子、30歳。定職、ボーイフレンドなし。親友・花子は荻窪の実家のパテ屋から目白に戻り、小説家のおばさんは相変わらず辛辣。桃子の母親は、なんと恋愛、再婚!謎めいた隣人・岡崎さんは「ね、ね、おもしろいでしょ」が口癖…傑作『小春日和(インデイアン・サマー)』から10余年を経て語られる「彼女(たち)」の物語。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

踊る猫

24
あまりこういうことを考えたことはないのだけど、金井美恵子という作家は意外と耳が良いのではないかと思った。小説の中に入り込む台詞のサンプリングのリズム感の抜群さに、読みながら陶然となってしまったのだった。金井氏は音楽をさほど聴かないというし、この作品でも映画について言及されこそすれ音楽については殆ど語られないのだけれど……『小春日和』から時は経って、登場人物たちの日常生活の良い意味での下らなさにはますます磨きが掛かっていて腐臭すら感じ取れる。私も無為な生活に疲れた状態で読んだせいか、不思議と慰められてしまう2018/04/06

あ げ こ

12
最高である。いつも通り最高である。見知った世界。山ほどある心当たり。自分は金井美恵子の言葉によって、もっとうんざりしたいし、うっとりしたいし、気恥ずかしい思いをしたいし、笑いたいし、満たされたいのだ。これ以上ないくらいに。自分が今いる場所…退屈で、ありふれていて、自分はもう、半ば飽きかけていて、すっかり諦めてしまっていて、けれどそう悪いばかりのものでもないと時には思う事もある、そこの。気怠さや煩わしさ、鬱陶しさであるとか、くだらなさと言ったものを。金井美恵子の言葉によって、嫌という程に思い知らされる事で。2018/07/05

rinakko

12
『小春日和』からの10年後。“十年一昔というけれど、十年前が「昔」なのかなあ、つい、昨日のようにも思えるけどなあ”…なんて。桃子、花子、おばさん…と相変わらずな面々に会えてとても楽しかった。話が逸れて、強引に戻してまた逸れて…と続いていく彼女たちのお喋りが面白くて、呑みながらそこに加わって聴いてる気分になってみたり。またここから10年後のことについて、ぜひ読みたいと思ってしまう。2015/12/16

あ げ こ

11
『小春日和 インディアン・サマー』以上に細部の集積、具体的な事柄…映画や本や物や服や食べ物や動物や人や言説や事例や事件や出来事やエピソードや会話、の集積で出来ていて、それを読むことで、なにを生き直すかと言えば、桃子や花子たちの現在であり、もしかしたら自分のものでもあるのかもしれないと、共有さえし得る現在、暮しや毎日や日々と言った、ただひたすらに現在(かつてそうだったものも含め)、と言うべき時間と実感と世界であるように思う。とことん具体的である細部の数多、細々と好きなところを挙げて行けばそれこそ果てしない。2021/10/22

あ げ こ

11
やっぱり楽しい。自分は今この時分の桃花コンビと年齢がほぼ同じな訳で、まさに、と言った感じであって、非常に心当たりが多いと言うか、読む事で引き出される記憶や情景や感覚と言ったもの達が、以前読んだ時よりも更に増えたなあ、と思う。身に覚えと言うか、本当にそう、と思うような事の多さ。そのように自分も言ってしまうし、考えてしまうし、うんざりしてしまうし、笑ってしまうし、悩んでしまうし、選んでしまうし、確かにそのように暮している、と思う事の多い事。本当によく知っている。その疲れも、不快感も、不安も、特別な事のなさも。2019/04/28

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