内容説明
第二の人生をいかに生きるか―三菱製紙を五十五歳で定年退職、生き甲斐を痛感するために俳句に書にと全力疾走し、昨夏九十七歳の大往生をとげた異端の俳人・永田耕衣。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ふじさん
95
永田耕衣は、大した学歴もないのも関わらずナンバー3の地位である三菱製紙工場の部長となりながらも、55歳で定年退職。人生の目的はそこにはなく、勤務の余暇をその目的に費やし、定年退職後はその目的である俳句と書を生き甲斐として97歳の大往生を遂げた永田耕衣。まさに企業人生に代わる新しい人生のモデルに相応しい。異端の俳人と言われた彼の人生を辿り、晩年を悔いなく生きるかをメインテーマに描いた芸術家小説。羨ましい限りの人生、こんな生き方を貫いた人物が存在したことが驚きだ。ただ家族は大変だったろうとは想像がつく。 2022/04/26
pirokichi
20
〈少年や六十年後の春の如し〉〈コーヒー店永遠に在り秋の雨〉等の俳句で知られる永田耕衣(1900-1997)。三菱製紙高砂工場在職中から俳句、書画にのめり込み棟方志功等との親交を得「出会いは絶景」と言い「マルマル人間」として生きようとした。55歳定年退職後も句作、主宰する「琴座」の俳誌の編集等、又読書、書画、骨董収集等好奇心は尽きず97歳の死まで勢力的に生きた。読書家の氏が本をあえて二重買いすることについて、「かつて読んだ内容を別の新しい本で読むのは、復び新鮮無類な泉に口づける感が深い」の言葉が胸を打った。2021/11/22
たけちゃん
4
俳句がメインでサラリーマンがサブなんだろうな。映画を作る資金を得る為にお笑いをやっている北野武のように。2017/05/30
あられ
3
すごい生き方だなあ…こういう人って今もいるのかな?2014/12/20
良さん
2
『定年後』(楠木新著、中公新書)を読んだら、その参考文献にあって芋づる式読書。永田耕衣が俳人だと知ってより興味がわいた。 【心に残った言葉】出会いは絶景(14頁)/「マルマル人間」つまり気ままに人間として生き切る(18頁)/常識を破るところが詩なんや(112頁)2018/11/19