内容説明
成熟社会になると、近代過渡期の「郊外幻想」が覆いかくしてきた私たちの社会の「基層」が再浮上する。―家・学校・地域が軒並み空洞化した「郊外」と、そこに浮遊する若者たちを論じた力作。
目次
1 テレクラ少女たちの行方(社会学的フィールドワークの目的;青森のテレクラ少女たち;テレクラの民俗誌 ほか)
2 現代の諸像(インターネット時代の暗黒面;いまどきの恋文;成熟社会の差別論 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
田中はにわ
3
私の大学時代、宮台真司は女子高生の援助交際に詳しいおじさんで、私には全く関係ない人、と思いつつ、なんかずっとずっと気になり続けてきた。あれから20年、八王子古本まつり33円で買って読む。そんな単純じゃないよ、と思いつつも、うなづくことも多い。この生きづらさを解消するには、やっぱりこれなのかと、学生時代に考えていたことを考えなおしたい、と考える昨今である。2018/05/06
ケー
2
きちんと読んでみると、現代にも通じる話が多い。とくに、ヤンキーと地元に関する話などは当時以上に現代的なテーマではないだろうか?2015/02/24
いのふみ
2
何となくだが、著者の考えは、ペシミズムではなく、社会と密に向き合い、コミットしてゆかねばならないという考えが根底にあると感じた。自分にはこの考察はやや難しかったのだが、90年代の世相を分析することで、現在のわれわれの姿が見えてくるように思った。2014/09/27
ことぶき あきら
2
フィールドワーク方法論、インターネット論、恋愛論、オウム論、差別論など、それ自体個別のトピックで、かつ文章自体も雑誌媒体等に掲載されたものの収録ですが、近代が成熟し、動機づけの装置としての幻想(イメージ、物語、幻想的共同性)の共有度合が低下する、そのような社会を我々は生きているという著者の基本認識が通底しています。さらにあとがきでうまくまとめてくれています。2013/11/04
yamayuuri
2
他者を知り自己を知るというフィールドワークの動機付けから、青森テレクラ、テレクラ史、郊外、第四空間、終わりなき日常論…と宮台ワールドが華麗に展開されていく。特にテレクラ史の分析は秀逸。しかしこの人は、社会の大本をつくっている(と思われる)勤労男性が嫌いなのだろうな。女性、若者、子どもは彼の話を聞いて救われる人は多そうだが、社会に両足を浸かってる男には無理だろうと思った。2010/05/13