出版社内容情報
明治20年。僧冬伯のもとへは困り事の相談に日々客人が訪れる。本日は店の経営不振に悩む料理屋の女将で……。僧侶兼相場師の型破りな僧侶と弟子の名コンビが、檀家たちの悩みを解決しながら、師僧の死の真相を追う。連作短編エンターテイメント!
内容説明
明治20年、東京浅草の東春寺は、相場師も兼ねるユニークな僧侶・冬伯と弟子の玄泉が切り盛りする。今日は経営不振に悩む料理屋の女将・お咲が寺を訪れ、店に“幽霊”が現れたと打ち明けるが―。お産をめぐる顛末、“お宝”の噂…彩り豊かな全5話の短編から驚きの広がりを見せる物語。
著者等紹介
畠中恵[ハタケナカメグミ]
高知県生まれ、名古屋育ち。名古屋造形芸術短期大学卒。漫画家を経て、2001年『しゃばけ』で日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞してデビュー。以来、「しゃばけ」シリーズは一大ベストセラーとなり、16年には吉川英治文庫賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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いつでも母さん
175
『明治生まれだから大丈夫と安心してる者も、一旦明治を習い覚えた者も、またつぎのことを習い始めるのだ。』この明治を昭和や平成に置き換えると胸にすんなりと落ち着く。維新から20年、東京浅草の廃寺を立て直した型破りな僧侶・冬伯の物語。徳川埋蔵金の話も絡めてあるがそこは弱い。ゆるりと畠中さんの描く維新ものの感じだった。2021/12/02
初美マリン
124
変わり続ける時代、それが明治。それを一風変わった相場師である御坊を中心に描いている。弟子がしっかりもので素直で実にいい。2022/03/09
まちゃ
108
明治20年。廃仏毀釈で廃寺となった東春寺を再興した僧侶兼相場師の冬伯。彼と弟子・玄泉が営む寺を訪れる困り事を抱えた人々。価値観が一変した明治という時代を生きる市井の人々の悩み、冬伯がそれを解決していく時代エンターテインメント。読みやすく、楽しめる作品でした。2021/12/13
タイ子
108
明治20年、時代が何かと変わりつつある中で廃寺になりそうなお寺を持ち直した一人の僧侶がいる。浅草にあって寺の名前は東春寺。実はこの僧侶・冬伯は僧侶の顔と相場師の顔を持っている。時には失敗もするが儲ける時にはそれなりに。檀家も少なく貧乏寺、だが相談に訪れる人もちらほらと。跡取り息子は自分の子ではないと言い張る母親、現代のようにDNA検査ができれば…。そこにはある偶然すぎる事情があった。物語の大半を費やすのは徳川埋蔵金に関わる謎とそれをきっかけに繋がる縁。終盤に冬伯が語る変遷の世に想う事。令和の今も胸に響く。2021/12/01
あすなろ
94
江戸から明治に変わりゆくなか、廃仏毀釈も加えてその様を明治から描いた作品。また、設立されたばかりと思しき相場にて師の寺を取り戻し、檀家もないなかその寺を運営していく中で様々な出来事が起きて解決もしていく。そんな連作短編集。割とライトな感覚も持った。それなりだったが、個人的には廃仏毀釈や明治初期の相場や相場師の様がもっと描かれている事を勝手に期待してしまっていたので、正確な感想にはなっていないかも。2022/03/20