内容説明
もしもファインマンさんの講演会があったなら、今だって会場には溢れんばかりの人がおしかけるだろう。学問のいかめしさとは全く無縁、不思議を突き止めていく科学のワクワク、ドキドキを、抱腹絶倒の語り口で伝えてくれるから。そんなファインマンさんの、講演・インタビューをまとめた一冊。話題は生い立ちから、素粒子や宇宙の話まで。
目次
1 ものごとをつきとめることの喜び
2 未来の計算機
3 現代社会での科学的文化の役割とそのありかた
4 底のほうにはまだ十二分の余地がある
5 科学の価値とは何か
6 リチャード・P.ファインマンによるスペースシャトル「チャレンジャー号」事故少数派調査報告
7 科学とは何か
8 世界一、頭のいい男
9 リチャード・ファインマン、宇宙を築く
10 科学と宗教の関係
著者等紹介
ファインマン,リチャード・P.[ファインマン,リチャードP.][Feynman,Richard P.]
1918‐88年。アメリカの物理学者。量子電磁力学のくりこみ理論で、1965年、シュウィンガー、朝永振一郎と共にノーベル物理学賞受賞。カリフォルニア工科大学などで教鞭をとる。『ご冗談でしょう、ファインマンさん』『困ります、ファインマンさん』などの著書はロングセラー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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トムトム
31
科学者が科学的な思考をすると幸せになれるよと昔から言っているのに、全然世間に浸透しないのね。私ごとき一般人が一生懸命説明しても、伝わらない訳です。紀元前の人も同じことを一生懸命説明してるのに、やはり現代一般人には伝わっていません。もうそんなもんだと諦めた方が良いのかしら。2021/11/16
zoe
23
ファインマン教授の父上の様に、振舞うことが出来れば、子供と少しは違ったコミュニケーションができたかもしれないなあと思う次第。もう、森を親子で歩いてくれはしないだろうなあ。チャレンジャー号の事故報告は、エンジニアとしては頭か胸に刻み、チェックポイントに差し掛かったときに、ふと振り返るところではないだろうか。カーゴ・カルト・サイエンス。最先端の現象を追いかけていて、理由をつけた時は、常にカーゴ・カルトに陥っている危険があるかも。「XXXX細胞」なんてのは、もしや、こういうことだったかも。2018/06/24
naotan
9
「ご冗談でしょう」&「困ります」を先に読んでてよかった4冊目。専門的な話はちょっと理解が追い付かなかったけど、チャレンジャー号の資料も読めて、十分に楽しめました。2018/02/09
ウッチー
6
ファインマン氏が本書で繰り返し子供への教育方法を回答しているのは、後世への知識の伝達と、伝達された知識を疑う価値観の育成こそが、科学の進歩にとって最も重要だと捉えているからなのだろう。本当の科学者になるためには、とにかく何もかもを疑い続ける事が必要なのだな。いまさら科学者になる事は無いが、何かを鵜呑みにせずに一旦疑ってみるという姿勢は見習いたい。2014/06/06
roughfractus02
5
疑いと同様に曖昧さを好み、未知へ向かう姿勢を実践すると、無知の自身を知る学としての科学を学び続ける著者の姿勢が見えてくる。科学者、教師としての講演やインタビューを集めた本書は、専門家の言葉を期待される自己に抗して、間違った答えよりも知らないと答える生き方を提示し、自身と聴衆の間にある従来の知のほうに疑いを向ける。ナノテクノロジーやコンピュータの未来、チャレンジャー号事故、科学と宗教等の諸テーマには「何かの名前を知っていることと、何かをほんとうに知っていることとの違い」を教えてくれた著者の父への感謝が滲む。2018/11/03