内容説明
ベトナム戦争時の米軍による枯葉作戦、その枯葉剤が含む猛毒ダイオキシンは、ベトナムの兵士・民衆はもとより米韓の兵士にも今なお深刻な被害を与えている。そしてダイオキシン汚染は戦争の傷痕のみならず、現代の環境破壊として日本でも他人事ではない。国際的報道写真家が旧版刊行後二十余年の取材で世に問う渾身の一冊。
目次
女たちの苦悶
枯死の岬
生きぬく子どもたち
餓死の高原
生体実験
兵器としての農薬
三つの出会い
そして子どもたちは大人になった
ダイオキシン、その人体影響
著者等紹介
中村梧郎[ナカムラゴロウ]
報道写真家。1940年生まれ。1976年からベトナムで枯葉剤による被害の取材を開始。さらに米国、韓国、日本でもダイオキシン問題を取材。前岐阜大学教授。ニコン伊奈信男賞、日本ジャーナリスト会議特別賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ゆかーん
33
アメリカはなぜ同じ過ちを繰り返すのでしょう。1945年に広島と長崎に原爆を投下して大量殺戮を行ったにも関わらず、1960年代にはベトナムで枯葉剤による人的被害を起こしています。たくさんの被爆者や奇形児が生れているにも関わらず、アメリカは未だに正式な文書で、被害者に対して謝罪をしていません。そして、そのまま1990年代には、イラクとの戦争でウラン弾による攻撃を行っています。何時まで悲惨なことを繰り返すのか…。中国・韓国以上にアメリカという国が心底理解できなくなりました。2015/04/15
山口透析鉄
28
古書で。新潮文庫版も昔、買って読んでいます。その後のベト・ドク兄弟の記事やダイオキシンの人体への影響、日本での現状(ゴミの焼却処分)なども含めた追記が結構あり、枯葉剤で植物が枯れ果てた現地のその後なども出てきます。 米国側の司法が帰還兵その他に対し、どのような狡猾な手法で和解案を出してきたかも分かるように書かれています。枯葉剤+ナパーム弾による化学反応の影響等は新潮文庫版には出ていなかった記述です。様々な障害を抱えて産まれた子どもについては被害者側・加害者側の兵士等の差はないです。(以下コメント欄に)星52024/06/15
井戸端アンジェリか
5
衝撃的なルポでした。好奇心だけで購入してごめんなさい、です。 枯葉剤がどのような影響を及ぼしたのかがわかる写真の数々に打ちのめされた。ベトナムの人たちだけではなく、無害だとしか知らされず前線で戦った米兵にも傷あとを残している。2013/07/20
らむり
4
★★★★☆
せろり
3
ベトナム戦争での枯葉剤による被害を豊富な写真にて報告した本。また枯葉剤に含まれるダイオキシン問題を提起している。日本でダイオキシン問題が話題になった時によく読まれたものと思われる。時が流れて今やダイオキシンの人間への有毒性はほぼ無いことがわかった現在となってはこの本の論調が感情的なものであり論理性が乏しいことが目につく。ダイオキシンはともかくとして枯葉剤の有毒性は明確であり本当の原因物質の究明が期待されるが、もはや難しいかも。全てダイオキシンに踊らされ隠蔽された結果なのかと思うと残念な結果か。2018/10/21