内容説明
「医者の処方する薬だけで病いが治る訳ではない。もう一つのお薬の働きが大きいのです」。自らの体の中の、自然の中の、日常の暮らしの中の“もう一つの薬”を患者とのふれあいに見出しつつ、悩み、喜び、思索する日々を、ベテラン内科医が飾らぬ言葉でつづります。収められた数々の人生ドラマが、心に温かくしみわたります。
目次
ハマゴウの枕
ブナを抱く
梅干しと番茶
自転車
世間話し
分かちあう
Gさんの力
足音
思い出療法
ベッドサイド〔ほか〕
著者等紹介
徳永進[トクナガススム]
1948年、鳥取県生まれ。74年、京都大学医学部卒業。大阪吹田の同和地区診療所医師、鳥取赤十字病院内科医などを経て、野の花診療所医師。82年、『死の中の笑み』で講談社ノンフィクション賞受賞
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
9
1993年初出。体を尊敬する(3頁)。痛めつけるために病気になる、という発想はなかなか思い至らないことである。1テーマ2頁(程度の)構成のため、読んでみたいものだけ拾い読みもできる。尿酸値が高値で、痛風発作(85頁)。この激痛は、なってみないとわからない。「殺すな!」のところでは、「殺された人と殺した人、その人たちが『人を殺してはいけない』と本気で思っているのではないか」(211頁)との鋭い指摘。そのとおりだろう。というのも、イラク戦争では米軍兵の中に精神的におかしくなってしまう者がいるということなので。2013/07/12
ぴー
0
マイペースに読める本。文章から徳永さんの人柄が伝わる。言葉ひとつひとつお話ひとつひとつ目を通していくうちに、心のくすりとなってゆくのを実感。2015/01/23